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インターミッション3 竜戦士 2

用語解説

ケイオス・ウォリアー:この世界に普及している、魔法仕掛けの巨大ロボ。

 完成した新型ケイオス・ウォリアーの説明を求めるユキヒロ。

 それも乗りながらの方が理解し易いとクレイジに言われ、恐る恐るながら操縦席へ入る。座席に座って火を入れると、機体への一体感とともに、モニターに機体のデータが表示された。


 アビリティレベル――機体性能を数値化した物で、近接戦闘力を示すファイティング、射撃戦闘力のウェポンズ、運動性や速度を示すスピード、出力・駆動力のパワー、装甲・防御性能を示すアーマードの5項目が一般的に使われている。


(最も普及しているBソードアーミーの、全てのアビリティは「100」だけど……)


 表示されている各種レベルをユキヒロは確認した。



ファイティングアビリティ 140

ウェポンズアビリティ 130

スピードアビリティ 120

パワーアビリティ 130

アーマードアビリティ 140



「これが白銀級機(シルバークラス)! 全てが量産機を大きく上回る!」


 操縦席で興奮するユキヒロ。

 同じデータを機体の外でクレイジが水晶板に映し、それをディアとレイが見ていた。


「近距離重視の重装甲タイプなんですね」

「まぁニコイチの材料になったのが両方そのタイプですからな」


 ティアにクレイジはそう答えるが、レイは眉をひそめる。


「なんだか不安なんだけど……」


 ムッとクレイジが不機嫌になる。


「自爆装置は注文通りの手動式ですぞ?」

「そうじゃなくて……」


 レイは格納庫を見渡した。

 正常な部品をとるのに使われた筈の、元リザードキングの機体が無い。分解されているとか壊れているとかではなく、綺麗に無くなっているのだ。

 腑に落ちない顔で再びアジダハカを見上げるレイ。


「私は機械とか巨大兵器については素人だからよくわからないんだけど。2機を混ぜたのに、なんで大きさは変わってないの?」


 聞かれたクレイジは落ち着きを取り戻した。


「なんだ、そんな事か。そりゃ単に材料を無駄なく使っただけですぞ」

「???」


 首を傾げてひねりまわすレイ。

 するとクレイジは大きな羊皮紙の巻物を取り出した。


「まぁ図面は渡しておくので誰になりとも確認させて構いませんわい」



――ギルド裏庭――



 巨大兵器にとって広い空間ではないが、ユキヒロはそこで軽く手足を動かしてみた。クレイジが通信機で訊ねる。


「マスターとの馴染み具合はどうですかな?」

『ここで試乗した分には良好だ。前まで乗っていた量産機よりいいぐらいだよ』


 上機嫌の声が返ってきた事に技師も満足して頷く。


「量産機の優秀な所は誰にでも合わせ易い事ですが、こいつはマスターのために造った機体。マスターに対してならどの量産機よりも適応するという自負があります」


 機体が両翼を広げ、軽く地面から浮く。

 それをゆっくり着地させながらユキヒロは応えた。


『信用させてもらうよ』



――再び格納庫内――



 機体から降りたユキヒロに、今度は盾を渡すクレイジ。


「次はこの盾、魔竜甲ヴリトラですぞ」


 大げさな名前にレイが「はぁ?」と漏らすが、ユキヒロは盾を受け取ると表面に触れた。

 形状がカイトシールドと呼ばれる物。金属の枠の内側は、鱗型の金属片が幾重にも重なっている。


「スケイルアーマーなら知っているけど、盾でこの造りは初めて見た」


 それを聞いて「ククク……」と嬉しそうに笑うクレイジ。


「これは並の金属ではありませぬ。この工場に大量に備蓄されていた竜の鱗を利用した我がオリジナル素材、超合金DDです」

「え!? 竜鱗の盾なんだ」


 驚くユキヒロ。

 しかし予想外だったから驚いただけで、別に咎めるつもりは無い。ギルド長に就任して最初の依頼で山ほど集まった竜系の素材を有効利用した事は賞賛していいとさえ思った。

 クレイジは力説する。


「我が部族の英知の結晶、剛性と弾性を併せ持ち、各種属性抵抗も備えた金属。この超合金DD――ドワーフ&ドラゴンは必ずやお役に立ちましょう!」


 それを聞きディアが何やら考え込んだ。


「その名前なら略称はD&……」

「やめい。ガイジンはそこらにうるさい」


 クレイジからの迅速なカット。

 余計な土下座は無用。気遣いは大事だ。

 さらにクレイジは格納庫の片隅にある箱を指さす。


「この超合金はまだ残っておりますが、ティアスポラ殿もこれで改造しますかな?」

「そんな事ができるのか?」


 驚くユキヒロ。

 しかしディアを後付けで強化改造できる事は、彼女と初めて会った日にも教えられた事だ。

 クレイジは自信満々に頷く。


「無論。これで全身を強化すればこの娘の装甲強度は推定128%アップします」


 その口調も表情もやる気満々というところ。

 だがそれを聞きレイが疑いの目を向ける。


「全身を覆ったら見た目が人間型じゃなくなりそうだけど?」


 クレイジははっきりと頷いた。


「爬虫類人間とでもいう形になりますな。だがカッコイイと思いますぞ」

「却下で」


 ユキヒロは即答。

 クレイジは無念と不満を隠そうともせず顔に出す――まぁ限られた素材の使い道は大事だ。

【設定解説】


この世界に最も普及しているケイオス・ウォリアー、Bソードアーミー(巨人戦士型の汎用戦闘機体)のアビリティレベル


ファイティングアビリティ 100

ウェポンズアビリティ 100

スピードアビリティ 100

パワーアビリティ 100

アーマードアビリティ 100

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