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インターミッション3 竜戦士 1

このパートも日常回というヤツだ。


用語解説

ケイオス・ウォリアー:この世界に普及している、魔法仕掛けの巨大ロボ。

――ギルドの格納庫――



 修理・整備の工場も兼ねる格納庫へ、ドワーフ技師のクレイジを案内するユキヒロ達。現在そこにある巨大兵器ケイオス・ウォリアーは4体。

 1機は国から支給されてた、最も普及している量産型の兵士型機Bソードアーミー。

 それと同型機、魔王軍残党のゴブリン部隊から鹵獲した物がもう一機。

 そしてそいつらが保管していた、修理半ばの指揮官用の上級機体が一機。

 ユキヒロは上級機体……動かない白銀級機(シルバークラス)を前に説明する。


「修理を街の工房に見積もってもらったんだけど、元の設計図が無いから相当時間が要ると言われて……」

「ご安心めされい。そもそもケイオス・ウォリアーは共通規格という骨組みに肉付けして作るような物。そして古来より機械工作でドワーフ族の右に出る者はありませぬ。半月もあれば仕上げてご覧にいれましょう」


 そう言うクレイジは自信満々、不敵な笑みを浮かべていた。

 その態度にレイが露骨に顔を顰める。


「なんか凄い大口叩いてない? 本当に大丈夫? 機械工作って言っても、粉ひき機や投石機を造るのとはわけが違うわよ?」


 疑ってかかるその姿勢を前に、しかしクレイジは「ククク……」と含み笑いを漏らす。小馬鹿にしたように――いや、完全にしている。


「古い魔剣だけあって認識も古臭い」

「なんですって!?」


 青筋を額に浮かべるレイ。

 しかしクレイジは余裕の笑みを浮かべたまま、胸を張って腕組みし、格納庫を見渡した。


「街の工房が見積もった時とは状況が違う。キングリザードから奪った、もう一機の白銀級機(シルバークラス)もある」


 格納庫の片隅には4機目のケイオス・ウォリアー……鉱山を占領していたキングリザードの持ち物だった機体が立っていた。


 幹部用の白銀級機(シルバークラス)、Sバイトガビアル。

 ワニの頭と尾をもつ格闘戦用機で、その大出力から繰り出される爪と牙は量産型機を容易く粉砕する事ができる。

 しかしユキヒロはこの機体に乗る気は無かった。戦闘スタイルが全く噛み合わないからだ。

 ここらへんは操縦者に合せて調整、場合によってはイチから造られるワンオフカスタム機ならではの不便である。

 まぁ両手武器を振り回していた奴の乗機がなぜ牙と爪でとっくみ合う機体なのか、ユキヒロはいまいち納得しきれていないが……。


 だから修理中の機体の方を、ユキヒロに合せながら直す事ができないか、このクレイジに訊いているのだ。

 なのに乗らない機体へ言及したドワーフの技師。

 彼をレイが睨みつける。


「あのでかいワニじゃなくて、動かない盾持ちの方をなんとかしろって話なんだけど?」


 しかしそう言われてなおクレイジは笑う。


「愚かなり無識な刃物女。Intelligence swordではなくIgnorance swordに改名せい。ワシはワニ機に乗ってくれなどと一言も言ってはおらん。あちらはあくまで正常稼働する部品の塊。分解して修理用材料にすれば、ワシの腕なら本命機体の修理などできて当然当たり前。半月は稼働テストも含めての納期だと考えていただこう。無論、設備や道具は使わせていただきますがな」

「ああ、ニコイチでほぼ作り直すんだ」


 ようやく理解したユキヒロ。

 その横でレイが「ぐぬぬ……」と歯軋りしていた。

 そこへディアからクレイジへ。


「確率発動の自爆装置は無しで。むしろ装置そのものが無くていいです」

「む……まぁそういう注文なら外しておきますが……」


 自信に満ちていたドワーフ技師が、一転、苦虫を嚙み潰したような顔を見せた。


(やっぱりつける気だったんだ)


 冷や汗をかくユキヒロ。



――半月後――



 クレイジに呼ばれ、ユキヒロ達は格納庫へ出向く。

 そこには生まれ変わった有翼の人造巨人が威容とともに立っていた。

 足元で疲労の濃い顔に会心の笑みを浮かべるドワーフ技師。


「名付けてSカイトアジダハカ。いかがですかな!」


 黒に近い濃い紫の鎧を纏い、竜の頭を模した兜を被っている。背中には下部の尖ったアーモンド形の翼が二つ。

 さながら竜人戦士とでも表現すべき外観だ。


「おお……本当に完成してる」


 感心するユキヒロに、胸を張って側を指さすクレイジ。


「そしてマスターのための武具もここに!」


 そこには柱に立てかけられた人間用サイズのカイトシールドが置いてあった。


「いっぺんに造ったのか!」

「本当に大丈夫?」

「確率発動の自爆装置はつけてないでしょうね?」


 感心するユキヒロ、眉をひそめるレイ、疑わしそうなディアが口々に言う。

 それに対してクレイジは――


「いつでもつけられるようオプションとして用意してありますぞ」


 懐から、ケーブルのついた小さな金属箱を取り出した。

 それを見てユキヒロはかぶりを振った。


「それは分解して別の場所に保管してください」

【背中には下部の尖ったアーモンド形の翼が二つ】


カスタムじゃない方のウイングGUンダムゼロの羽みたいな形、と書けば凡そ理解していただけるだろうか。

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