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シナリオ3 トカゲ王の山 5

登場人物紹介:今回のエピソードに関わる者達。


ユキヒロ:主人公。地球から召喚された転移者にして冒険者ギルドマスター。

デメキン:ボウエンギョそっくりの小さな竜。冒険中は主人公の肩にいる。

ディア(ディアスポラ):人造人間の少女。ギルドの従業員。

レイ:ユキヒロの持つ魔剣レイクドーターの分身体。十代の少女の姿をとる。

クレイジ:ドワーフ族の屈強な機械技師。

 ソドワ山奪還後、ドンキ氏族のドワーフ達は歓喜しながら故郷へ戻った。

 かつての住居と鉱山を取り戻した彼らは速やかにイムブック国へ使者を送り、属領になる事を申し出る。

 あらかじめ経緯を伝えられていたイムブック国もこれを快諾し、ソドワ山とその周辺は領土の境界線が描きかえられる事になった。



――その後日――



 食堂で昼食をとるユキヒロに、レイが顔を顰めて心底嫌そうに話しかけた。


「あのさ……なんであいつがここにいるわけ?」


 彼女の視線の先にいるのは、大きな目玉をギョロギョロさせる灰褐色のリザードマン。コモドダインが雇っていたリザード忍者・月光である。

 全裸のリザードマンは周囲を気にする様子もなく、握り飯を次々と食っていた。

 ディアがバインダーに挟んだ書類をめくる。


「冒険者として登録は済ませてますね」

「なんで!? 元魔王軍でしょコイツ!」


 嫌悪と苛立ちを露わにリザード忍者を指さすレイ。声にも態度にも遠慮する気など欠片も無い。

 すると月光が顔色一つ変えず当然のように主張する。


「否。セッシャはフリーの忍者でゴザル。前の仕事は武装勢力の大将から受けただけの事。そいつがたまたま前職旧魔王軍だっただけの事。完・全・合・法」

「いいのこれ!?」


 青筋をいくつも浮かべてリザード忍者を指さし、レイはユキヒロに訴えた。

 額を抑えて呻くユキヒロ。


「まぁ……悪さをしないなら……」


 ギリギリと奥歯を噛んでから、レイは「はぁ~」と大きな溜息をついた。


「国が獲得した物は大きくても、冒険者ギルドが得たのはこのトカゲだけって酷い話よね」


 だがしかし。

 その時、食堂に現れる頑強な男の影。


「ご安心めされいギルドマスター!」


 聞き覚えのある声に、レイもディアも、そしてユキヒロも振り向いた。


「クレイジ! あなたがどうしてここに?」

「ドンキ氏族からダイクレー冒険者ギルドへの感謝と友好の証として、ワシがここの職員として尽力する事になりました。街の認可ももらってきましたぞ!」


 胸を張るドワーフの機械技師・Drクレイジ。

 それを聞いてディアが首を傾げた。


「職員……?」


 Drクレイジは堂々とユキヒロのいるテーブルの対面に座り、レイへ「ビール!」と注文する。そして自信たっぷりにユキヒロへ提案した。


「ここには修理中の白銀級機(シルバークラス)があるとの事。今回敵から接収した機体も使い、ダイクレー冒険者ギルド専用機を製造しましょう!」

「そういう事ができるんだ! それは頼もしいな。でも確率で自爆する装置は要りませんよ」


 喜びながらも釘を刺すユキヒロ。

 Drクレイジは難しい顔で己の髭をいじる。


「む……ならば手動にしておく必要がありますか」

「普通はあります」


 ディアが猫・犬・小竜にエサをやりながら口を挟んだ。


 キングリザードとそれが率いる組織は、やはり何体ものケイオス・ウォリアーを持っていた。そのうち一機は隊長用の白銀級機(シルバークラス)

 もしユキヒロ達が巨大兵器での戦いを挑んでいたら、量産型2機ではまず叩きのめされていただろう。潜入を選んだのは正解だったと言える。


 Drクレイジはさらにユキヒロへ提案した。


「それに盾が壊れたのでしたな。ならばギルドマスターの武具も新調しましょう!」

「それは頼もしいな。でも確率で自爆する装置は要りませんよ」


 喜びながらも釘を刺すユキヒロ。

 Drクレイジは難しい顔で己の髭をいじる。


「む……ならば手動にしておく必要がありますか」

「そもそも自爆が要りません」


 ディアが口を挟んだ。


 巨大兵器を所有しながら修理と再配備の遅れていたダイクレー冒険者ギルド。

 技師を得た事で、その整備が一気に進む事になる。

そろそろ主人公も専用機に乗っていい頃だ。

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