8.
図書委員での話をする。
柴田は情の熱い面を利用して図書コーナーをより良くしようとしているのだが、正直全く駆使出来てないどころが改悪している。
ただただ、怒りをぶつけて一石二鳥になりきったがの様な利己的な行動は憎悪よりも戦慄が勝ってしまう程だ。
その日は貸し出しが出来る曜日で、本来ならその都度1人2人図書委員がカウンターに居座っている。
然し、いくら待っても肝心の当番の人が来ず柴田は耐えず激怒していた。
と、その場にいた僕に一つ頼みを投げ込んできた。
柴田:おい、今日は本橋が担当やろ。本橋って、貴方の中学の時の後輩だろな?連れてこい。
小泉:…何をする気ですか。
柴田:何もしない、だから連れてこい。
僕は片っ端から2年生の教室に入り、本橋くんを探った。
そして読書している本橋くんを見つけ、図書コーナーに連れ出した。
僕は用事を終えその場から逃げるように自分の教室へ戻った。
昼休みの終わり頃、僕が教材を持って廊下を歩いていると本橋くんを見掛けた。
然し、その姿は大きく負傷した者の如く萎萎していた。
僕は確信した、柴田は本橋くんに対し何かをやったと。
もう一つ、お話をする。
ある昼休みの事だった、僕は昼食を済ませ食堂から出た時だ。
図書コーナーから喧喧囂囂としており、誰かが激怒する声、何かを打付けている音が聞こえた。
ふと寄るとそこにはカウンターの抽斗を必死に抉じ開けようとしている柴田がいた。
何事だと思えば柴田は睥睨し乍ら荒らげた声で言った。
柴田:だ゛れ゛だ゛こ゛の゛な゛か゛に゛バ゛イ゛ン゛ダ゛ー゛を゛い゛れ゛た゛や゛つ゛ぅ゛!゛!゛
どうやらフラットファイルを誰かが迂闊り入れたようで、中で開いて閂の如く開かなくなったらしい。
柴田は力任せに開けようとしており、このままではカウンターが壊れてしまうと僕は柴田に話しかけた。
小泉:お、落ち着いてください!このままだと壊れてしまいます!隙間があれば─────
柴田:落ち着ける訳ねぇだろ゛ぉ゛!!貸出表がねぇと困るんだよ゛ぉ゛!!
小泉:…みんな怖がってますよ。
柴田:知るかよ゛ぉ゛!!入れた野郎がわりぃんだろ゛ぉ゛!!
その結果、僕を含む先輩や教師の説得も虚しく抽斗の一部を破損させて柴田は開けた。
目立たない所が欠けたのは不幸中の幸いだったが、ガソリンの如く一度火が着いたら聞く耳も持たず突っ走る性格は僕を真綿で絞めていた。




