7.
夏期休暇が明け、神無月に行う文化祭に向けて各職業コースは忙しなく準備を進めていた。
校外からやってくる某の客を楽しませる為の風だ。
僕らが所属するロジスティクスコースも来客の為に設備や計画に手一杯になっていた。
事務室内では、景品は何にするか模索している所だ。
昨年は廃棄予定のフラットファイルの表紙を切り取り栞を作っていた。
僕はキツネにグーテンターグと言わせたり幾何学文様の薔薇を咲かせたりと色々なイラストを描いていた。
そして僕以外にも、角川さんはゴシックな低頭身デフォルメマスコット、事務室の課長である灰野さんは日本の城を描いていたりと多種多様な栞が出来た。
───今年度も同様な製造法で栞を作ろうと思っていた、そんな矢先ふと柴田は行成り言った。
柴田:いいか?賞品はお客様に渡すものだ、だから色画用紙を持ってこい。あと定規と筆記用具を忘れんな、手際さとスピードが大事だからな。
僕は身勝手に流儀を曲げてる事を指摘しようとした。
けれど僕の会話力では真面に耳を傾けることすらしない疎か、納得するまで質問を投げ捲るだろうと嫌々と肯くことにした。
と、課長である灰野さんが唐突にこんなことを言い始めた。
灰野:そうだ。小泉さん、今年は開校10周年ではないですか。何なら学園メモの表紙、文化祭用として描いといてもいいんじゃないですか?
小泉:…そうだな(笑)
僕は少し許り照れた。というのも、僕は美術部のエースとして部活動をしており、僕の腕に期待をされてることは何よりも嬉しいことだった。
なので、この依頼に関しては吝かではなく、寧ろ快く引き受け休憩時や休み頃に取り掛かる事にした。
話を戻し、僕の所属しているロジスティクスコースでは製本体験や魚釣りゲームなどといったものを行う予定である。
なので下準備や用意、そして接客のレクチャーもしなくてはならない。当然2年生もそれの手伝いをしなければいけない。
栞作成もその一環だ。然し柴田が急に流儀を変えた為に人一倍忙しく奴は口酸っぱく異常な程の正確性を求めらた、手が不器用な為に。




