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高校時代───特に3年生の時の話になる。
僕が通う学校は、所謂労働を希望する障がい者がスキルや技術等を学び身に付ける所だった。
僕は“悔いを残さず技能を発揮して且つそれらを後輩に受け継ぐ”という目標を3年生になって強い抱くようになった。
というのも、生徒の受入数が増えたことによりコースの一部が枝分かれになることになり、僕が所属していたロジスティクスコースもそれぞれ「物流」「事務」に分かれる事になった。
僕は将来的の方向性に則り事務に異動することになり、僕を含め10人の同級生と共に空きの入った殺風景な部屋で作業することになった。
当然、最初は用品の配置や作業決め、更にデスクトップのPCのデータを事務用に整理整頓する等の苦労があった。
そして、協力しあった末に最低限の模様替えが終え、日に追う毎に細かく調整する形で事務室は仕上がった。
僕は事務の中でも、本のデータ管理や保護フィルムの張付、受注で届いた本をPCに打ち込み棚に納めるという所謂図書委員会の黒子にあたる“図書係長”を担当していた。
僕は小説や長い文章を読むのは苦手だ、然し文学の世界には興味があり絵や写真が膨大である本なら端から端まで読み進んでしまうほど本は好きだ。
高2だった頃、先輩を含め当番を忘れてしまう人が数居て、その時僕が勝手に貸し出しの仕事を務め図書コーナーを見張っていた程、僕はこの場所を愛していた。
図書コーナーは袋小路の様な大きな場所に本棚を両方の壁に並べ、カウンターを隅っこに置き、後は椅子と洋卓を配置しただけの簡易的な本の置き場だった。
然し乍ら、側に食堂があり立ち寄る人は少し許りいた。
───長い前置きをしたが、これから綴るのは僕のとある1年間に起きた自伝だ。
可能な限り、『ボッコちゃん』の様な簡潔に事を語る方式を試みている、何せ僕にとってそっちの方が読みやすいしそっちの方が伝わりやすいから。




