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 アカリ・キャンベル・ヘビィウェイトが手にしたグロック17 Gen.3と鉛弾が33発詰まったマガジンはかなりの重さになったが普段から鍛えているアカリはものともしなかった。なぜならグロックよりもダンベルの方が重いからだ。

 そんなアカリを見てグロックで撃たれてグロッキーだったクリスとマックもグロック19 Gen.2をしっかり握り、ついて行く。

「ダンベルに比べたらグロックなんて屁でもねえだろ?

 アタシらのパワーを見せる時だよ」

 アカリの筋肉トークにまずはクリスが応えた。

「握力でグロックを握り潰さないよう気を付けないといけないですねぇ」

 それにマックも続いた。

「あの小娘はどうせグロックより重い物を持ったことがない。楽勝っすよ」


 3人はまず校舎の屋上へと足を運んだ。上から順に制圧していく作戦だ。


 そんな3人の上空に1機のヘリコプターが現れた。

 ヘリコプターの中では歴戦の勇者が戦いの準備をしている。空から獲物を狙う狩人。ヘリコプター偵察コマンドチーム、パイロットのダグラス・リドナー及びガンナー、マグワイヤ・サトウだ。

 ダグラスがヘリを巧みに操縦し咆哮した。

「こんなのは久しぶりだな!

 東ドイツの秘密組織の野郎どもにバンカーバスターをぶちかましてやった時を思い出すぜ!」

 マグワイヤが特注したグロックの200連マガジンを手にし、それに応えた。

「おいダグ!そいつは軍のお偉いサンから口止めされてるんじゃねえのか?」

「おっと、いけねえ!

 お喋りは女にモテねえんだった」

 機内で軽口を叩いていたがヘリコプターは着実と屋上にいるアカリ、クリス、マックの3人に対し攻撃体勢を整えていた。

 マグワイヤが用意したグロック。それはこの日のために重機関銃仕様に改造したグロック18だ。

 グロック18。連続して弾が撃てるグロックだ。マグワイヤはその一般には流通していないグロックにカメラの三脚を接着していた。

 その上、特別製の200連マガジン。取り付けるとグリップの底から、かなりの長さが突き出てしまうがヘリコプターから弾をバラ撒くには最適だった。

 グロックのスライドがマグワイヤの手によって勢い良く引かれる。


 そして銃声が響く。しかしマグワイヤのグロック18はいまだ火を吹いていなかった。アカリがヘリコプター目がけてグロックの引き金を引いていた。

 33連マガジンの火力を活かし多数の9ミリ弾を撃ち上げたがダグラスの操縦テクニックはヘリへの被弾を許さなかった。

「あんなんションベン弾みてえなモンだ!

 マグ!本場のグロックの使い方を見せてやれ!」

 マグワイヤのグロック18のセレクターが連射モードに切り替えられた。

「おうよ!操縦は任せたぜ。ダグ!」

 銃弾が屋上に雨のように降り注ぎ、機内ではその撃ち殻が煙とともに音を立ててバウンドした。


 テロリストの3人組は空から撃ち込まれるグロックに成す術がなかった。またもやグロックで撃たれてグロッキーになったクリスとマックは屋上から校舎の階段へと続くドアへヨロヨロと逃げて行った。

「ちっ!2匹逃がしちまったか。

 だがあいつは仕止めてやる!」

 マグワイヤはグロックの引き金を引き続けた。階段へと続くドアを木っ端微塵に破壊しアカリだけは逃げられないようにした。

 そこでグロック18の200連マガジンが空になった。屋上には200発分の弾痕。そしてマグワイヤの足元には200発分の撃ち殻が転がっていた。


「おいマグ!

 そんな景気良くブッ放して大丈夫なのか!?」

 グロックの銃声が途切れるとタイミングを見計らったようにダグラスが聞く。

「あぁ!?」

 グロックの連射でハイになったマグワイヤは空になったマガジンを投げ捨て再び200連マガジンをグロックのグリップに叩き込んだ。

 ハイになり過ぎてグロックが射撃の熱で真っ赤になっているのを見落としている。

 だがダグラスが聞いたのは別の事だった。

「ウチの署では発砲したら1発1発、撃ち殻を回収して写真撮って、書類と一緒に提出する決まりだろ!?」

 普通ならここで発砲をためらうがマグワイヤは違った。熱くなったグロックのスライドを引いてスライドストップを解除した。

 足元に散らばった撃ち殻を蹴飛ばしてヘリの外へ落とす。

 チャンバーに弾が送られ再びアツい鉛玉をブチ込む準備ができる。

「んなメンドーなこと、部下にやらせるに決まってんだろ!」

 その言葉にダグラスは狂気じみた笑みを見せた。タバコのヤニで黄ばんだ歯が剥き出しになる。

 操縦桿から手を放すと2本指でグロックの形を作りマグワイヤに向けた。

 彼はそれを意に介すことなく鉛弾のシャワーをテロリストに浴びせる。追い詰められた女テロリストは自分のグロックで撃ち返すが、このままだとやられてしまうのは誰の目にも明らかだった。

 マグワイヤの足元には空になった特注200連マガジンが何本も転がる。


 だが流れが変わったのはその時だった。マグワイヤのグロック18とカメラ用三脚は接着剤で固定されていた。その接着剤が射撃の熱で剥がれてしまった。そして彼は三脚に体重をあずけていた。

 グロックが三脚から剥がれ落ちたことで彼もバランスを崩し転倒した。幸い彼は転ぶと同時に引き金から指を離した。

 だがグロックはコックオフ現象を起こしていた。

 コックオフ現象。グロックの銃身が過度に熱を持つ事で弾薬が発火してしまい例え引き金を引いていなくても弾が発射されてしまう現象。

 あちこちに弾丸が飛んで行き、足元にまで風穴があく。

 マグワイヤは慌ててグロック18のグリップからマガジンを抜き取った。

「うあっチ!」

 不様とも言える声とともに自分の体に弾が当たっていないか確かめた。

「どうした?」

 操縦に夢中になっていたダグラスは何が起きたのか分からなかった。

「あ?ああ…。このマガジン、長過ぎて邪魔でしゃあねえ!」

 撃ち過ぎて使い物にならなくなったグロック18を床に捨てた。

「だから普通のマガジンにしておけって言ったろ!」

「やかましい!」


 悪態をつくと別のグロックを取り出す。

 スナイパー仕様にカスタムしたグロック19 Gen.3だ。署で大量購入したグロックだが銃身を20インチ(50センチくらい)のものに代えてある。これも特注品だ。ダグラスが長過ぎて邪魔になるんじゃないかと言ったが構わなかった。

 ちなみにこれらの特注品は税金で購入している。

「あのゴミ野郎!今度は1発で仕止めてやる」

 慎重にカスタムしたグロックで狙いをつけるマグワイヤにアカリ・キャンベル・ヘビィウェイトは絶体絶命のピンチにおちいっていた。


 だが補習教室で動きがあった。

「フン。これが終わったら筋肉以外も鍛えてやるか」

 アリソン・ポリゴナル・ストライカーヴィッチが窓から身を乗り出しグロックを1発だけ発砲した。

 その1発がヘリコプターのエンジンに大ダメージを与えた。

 ヘリコプターは煙を上げつつ校庭に落下した。ダグラスは何とか地面と衝突する時のダメージを最小限に留めたがヘリコプターは飛行能力を失っていた。

 アリソンはヘリから脱出する2人を冷たく見下ろした。

 そして腰のホルスターにはグロック19Xが収められたままだった。

 そう、ヘリを撃ち落とすのに別のグロックを使ったのだ。

 果たしてそれは、どんなグロックなのか…!?



【追記】本作はギャグ小説ですのでグロックが実際にコックオフ現象を起こすかどうか等の確認は行ってません。フィクションとしてお楽しみ下さい。

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