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学園の外では、この前代未聞のテロ事件に対応すべく動きがあった。
1台のバスが学園に向かい疾走していた。その中では完全武装の男達が闘志をみなぎらせていた。彼らは櫻麺都署の精鋭部隊スペシャル・コンバット・ブラボーチームだ。
事件の一報を聞きつけ駆けつけたチームだったがテロリスト達は事前に入念な準備を行っていた。
バスはスピードを落とし停車した。無論その程度で動揺する精鋭部隊ではなかったが、これがテロリスト達が仕掛けた巧妙な罠だったのだ。
道路の真ん中に置かれた何の変哲もない植木鉢。観葉植物が植えられているそれは合計10個がバスの進行を阻止するかのように並べられていたのだ。
慎重さを兼ね備えた精鋭部隊の運転手はバスを停車させていた。しかし時間の浪費は禁物なのも事実。1人の男が道路に下り立った。
スペシャル・コンバット・ブラボーチーム突撃隊長マックス・イグチだ。
左手の大盾で防御し右手のグロックで攻撃可能な攻防一体の構えをとる。
彼のグロックは櫻麺都署で大量購入したグロック19 Gen.3だ。
大き過ぎて日常業務を妨げる事もあるグロック17でもなく、火力で劣るグロック26でもなくグロック19。
そして1度、不具合が出たGen.4や発売されたばかりで不具合が隠れてるかも知れないGen.5でもなくGen.3だ。
このグロックを選んだ奴は苦情の回避が上手いに違いない。
そのグロック19 Gen.3をいつでも発砲できるようにしたままマックス・イグチは植木鉢との距離を詰めた。
ところが彼もグロックで狙われていた。
植木鉢の観葉植物で偽装されたグロック42。世界最小のグロック。これがテロリストの仕掛けた罠だったのだ。
その数は植木鉢と同じく10丁。そのグリップに収められたマガジンには6発の.380ACP弾を込めることが出来る。
そしてグロックのトリガーにはヒモが結びつけられていた。
そう百戦錬磨のスペシャル・コンバット・ブラボーチームも植物の中に仕込まれた最小のグロックを発見することは不可能だったのだ!
グロックのトリガーに結びつけられてあるヒモは校舎まで伸びていた。そしてその先はアリソン・ポリゴナル・ストライカーヴィッチがしっかり握りしめていた。
テロリストのリーダーは静かに微笑む。
「フン。
我々を甘く見ていたようだな」
彼女は10本のヒモを6回引いた。
これにより60発の弾丸が男達に襲いかかった。
防弾チョッキを着ていたのが不幸中の幸いだったが彼らは戦闘不能に陥ってしまっていた。