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補習教室を占拠していたテロリスト達に校長室にネズミがいると連絡が入った後、彼らの動きは早かった。
動いたのはラーマ、アストラ、スターの3人組だ。補習教室を出て校長室までの廊下を目にも止まらぬスピードで駆けてゆく。
というのも、この3人組はスピードを売りにしたテロリストだったのだ。
「走れ走れい!スピードは全てを制するんだ!」
ラーマが後ろからついて来るアストラとスターを鼓舞する。
この3人組は装備からしてスピードを重視し軽さで選んでいた。
手にしているグロックはグロック26。サブコンパクトの小さなグロックだ。そしてプレートキャリアを身に付けていた。とても軽い防弾装備だ。
彼らは30秒かからず校長室のドアまで着くとトラップを警戒することなくドアを蹴り開けた。トラップを警戒しているヒマがあったら敵にトラップを仕掛けるヒマを与えないこと。それが彼らの信条だ。
スピードを落とすことなく校長室の中へ散る。
ラーマの手にしているグロックはグロック26 Gen.4。グリップのサイズを変えられるようにする等したグロックだ。彼は今も全力で室内を走って汗まみれになっているが汗でグロックが手から滑り落ちたりしないのはこのグリップのおかげだ。
アストラの手にしているグロックはグロック26 Gen.3だ。Gen.4ほどではないがグリップは滑り難くなっている。汗まみれで全力で走っても滑り落ちたりはしない。
スターの手にしているグロックはグロック26 Gen.2.5だ。グリップの一部が滑りやすくなっているが別に落としたりはしなかった。
しかし軽量装備による全力疾走でもネズミ、神崎岬を見つけることは出来なかった。
グロック26はグリップも短く、銃身も切り詰めているが小さいので持ち主の行動の邪魔にならない。ネズミがいるとすれば、そのスピードの前に隠れるヒマなどなかった筈だ。
この校長室には日本のサムライの鎧兜や浮世絵、ニンジャグッズのコレクションが飾られていた。
「それにしてもあの校長、とんでもねえジャパニーズマニアだったな」
ラーマがグロックを左右に振りながらつぶやく。
「このコレクションだけでビル一軒は建つんじゃないのか?」
アストラがグロックを片手にネズミを探しながら応じた。
「見ろよあの野郎、こ●亀全巻まとめ買いしてやがる!」
スターがムキになって叫んだ。
「なんだと?こっちはまだ10巻までしか買ってないのに!」
アストラも熱くなりグロックのグリップで壁を叩いた。
「落ち着け2人とも。これが終わったらオレ達もそれくらい出来るようになってる。
まずはネズミを探すんだ」
ラーマが2人をなだめた。アリソンは必ずこの部屋にネズミがいると連絡して来た。
3人は倍のスピードで走り室内の捜索を再開した。
すると突然、ラーマのグロック26 Gen.4が宙へ投げ出された。Gen.4のグロックのグリップはとても滑り難くなっている。汗で滑ったとは思えない。
見ると甲冑のうち一体が刀を抜いていた。そう神崎岬は隠れることなく甲冑を着て3人の前に立っていたのだ!
ラーマは身軽さを発揮しようとする余り、グロックを1丁しか持っていなかったがそれが仇になった。唯一のグロックを手放してしまい戦闘能力を失ってしまっていた。
岬は何が起きたか分からずにいるアストラの腹に日本刀を叩きつけた。刀は折れてしまったが国宝級の刀はプレートキャリアを叩き割った。その衝撃でアストラはグロック26 Gen.3を落としてしまった。
これで残りは1人。スターは岬に向けグロックを発砲した。だが甲冑がその弾丸を止めていた。防弾機能を持った南蛮甲冑が岬の体を守っていた。
弾切れになったグロックのグリップから空になったマガジンを抜き取るスターを折れた刀で叩いた。
これで勝負は決まった。普通の学生がグロックを持ったテロリストを倒した瞬間だった。