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 神崎 岬は救出した友人、ミサ・サミュエルの手を引き図書室へと入った。図書係がやったように火災用の避難器具で脱出する予定だった。

「ミサ、避難器具の説明書を読んでくれ。読解力はアンタのが上だろ」

 岬がグロックで周囲を警戒しながら指示した。

「いや読解力って…。これ誰でも読める…」

「お喋りをしているヒマはない!急いでくれ」

 岬のグロックを持つ手に力が入る。


 クリスとマックが追って来ていた。

 2人は岬とミサに追い付けなかった。筋肉というのは、かなりの重さになる。筋肉によってパワーを付けた代わりにスピードを犠牲にしたのだ。だがこの図書室へはもうすぐやって来るだろう。

「この避難器具、1人ずつしか下りられないって。どうする?」

 そんな時間はなかった。

「よし、こうなったら2人同時に下りるしかない。

 危険だが私を信じてくれるな、ミサ?」

「あー、他の奴ら見捨ててまで助けてくれたから信じるよ」

 ミサの笑顔はどこか虚ろで言葉にも皮肉が混ざっていたが、この危機の中では岬には深い友情を求める笑顔に見えた。

「ありがとう」

 説明書の注意書きを無視したダイブ。だが幸いにも避難器具が壊れたのは2人が校庭へ下り立った時だった。

 窓からクリスとマックが追って来れずに悔しそうにしているのが見えた。半ばヤケになってグロックを撃って来たが当たる距離ではない。


 岬とミサが走る先にはエンジンが掛かった1台の車があった。

「あの車は?」

「ガードマンのジョンさんの車だ。あの車で脱出する!」

 2人は車の後部座席に飛び乗った。ジョンは本当に逃げられたのかと目を見開いた。

「出発してもテロリストに見つからないだろうな?お嬢さん」

 ジョンは内心、ぐずぐずしてないで1人で逃げれば良かったと思った。2人の安全の責任も負いたくはなかった。だからそう聞くことで安全確認の責任を岬に押し付けた。これが汚い大人の話術だったが岬はそんな話術など知らなかった。

「ああ、奴らは4階にいるから追って来れないだろう。

 待っててくれて感謝する」

 岬は心から警備員のジョンにお礼を言っていた。

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