■□書籍2巻発売記念SS――暗殺組織ギルドチャット(2xx1/05/10)
これは【03 先行アーリーアクセス2日間編】第9話辺りのお話です。
書籍版で加筆描写のあったNPC好感度システムについての、暗殺組織ギルドの反応ですのでご注意ください。
不知火 :《NPC友好度一覧表》のカフカ様の好感度を述べよ
ちなみに私は→ (╹_╹)
幹部でもなぁ~やっぱりルゲ出身だからかな~
まいっちゃうよね~
名無し :(╹◡╹)
不知火 :ハアアアアアーッ!!
ミコト :(╹◡╹)
不眠ネコ:(╹◡╹)
九鬼 :(╹◡╹)
不知火 :ハァ……ハァ……
ジョン :(*^▽^*)
不知火 :ヒギィッ……!!!!
不眠ネコ:カフカ様ガチ恋勢こわいよ……w
九鬼 :本当に怖いのは俺の隣で音声入力でチャットしている事実だと思うけど
名無し :実際に口に出しておるのか
九鬼 :顔文字と絵文字は手打ち
ジョン :不知火は復帰してから芸風が変わったんですか?
不知火 :ジョンはハウス!!
ジョン :ギルド長はまだログインしてません
不眠ネコ:ギルド長=家……?w
名無し :不知火はパライソの友好度表記はどうなのだ?
不知火 :(╹◡╹)
ミコト :高いじゃんw
不知火 :カフカ様に推し変する前はパライソ推しだったんで!
九鬼 :原因がはっきりしてる
不知火 :今でもルゲに留まる理由になるぐらいに推しへの愛が残ってる!!
ミコト :キモいじゃん (・_・)
九鬼 :それは俺の隣に立って言うべき
名無し :不知火はネクロアイギスに移籍するかパライソの好感度を落とせ
話はそれからであろう
不知火 :ぐぬぬ
九鬼 :俺リアルに「ぐぬぬ」って聞かされたのも初めてなんだけど
ミコト :草じゃんそんなのw
□■□
九鬼 :ホームに帰還
不知火 :これで満足かー!! これで満足かああああ!!
不知火 :はあああ!! かっこよ!!
ジョン :うるさいですよ
不知火 :ハアハア……パラ……パラ……!
ミコト :こわw
九鬼 :パライソはメタがありすぎる
世界観だいじょうぶなんだろうか
ジョン :何があったんです?
九鬼 :不知火は好感度を下げようとしてパライソにカフカ様の尊さを語った
名無し :お前は何を言っているのだ
九鬼 :ちなみに不知火の第一声は「あなたとの関係は終わったの」
不眠ネコ:パライソも彼女面されてびっくりでしょ……w
九鬼 :そしたら《パライソの好感度が最大まで上がりました!》って
アナウンスが不知火に出たらしくバグかと焦った
でもパライソが「これで満足か?」と不知火にニヤッと笑って
去っていったんでバグじゃないってわかった
やってることがただのイケメン
不知火 :これだからルゲ民はやめらんねぇよぉ!!
やめらんねぇよぉ!!
不眠ネコ:不知火の恐ろしいところはロールプレイじゃないところだよ……w
ミコト :パライソ好感度MAXにしてて草
ジョン :それって実装前に好感度を上げきっていると見られない
レアアナウンスらしいですね
見てみたいです
不知火 :自慢かジョン! 最推しカフカ様の愛自慢かジョン!
ジョン :変な言い方やめて
名無し :メインでも出るキャラと出ないキャラがいるらしいのじゃ
不眠ネコ:あれ……しかもメインストーリー中での上昇が条件かもって
言われてるやつじゃ……
ミコト :不知火バグってる?
ジョン :チートですか?
名無し :断罪(通報)せねばならぬな……
不知火 :えー? 恋人のパライソと復縁しただけのリア充なワタクシをー?
つらいわぁ嫉妬つらいわぁ
九鬼 :正気を疑うドヤ顔と妄想発言はほどほどにしてほしい
ミコト :バグってるのは不知火の頭じゃんw
不眠ネコ:ゲームキャラ相手でもハラスメント通報ってしていいのかな……
ジョン :各国の主要NPCにヤバい女として認識されている不知火が、
プレイヤーの掲示板で無名なのはおかしいと思います
不知火 :「しらぬい」って読むの難しいもんね
書き込みにくいからスルーされるんだよゲヘヘ
ジョン :ゲス笑いはやめてください
九鬼 :不知火はオフゲスタイルのプレイだから
一般プレイヤーと一切絡まないせい
不知火 :不知火←読み方わからなーい☆
ミコト :名前が読めないから書かれない説むっちゃ推すじゃんw
不知火 :ぬいぬいって呼んでくれてもよくてよ! ぬーい☆ぬい☆♪♫
ジョン :アバターは清楚美人なのに何故かギルド長と違って
あなたの笑顔はニチャァ……を連想させるんですよね
不知火 :ぬいぬいはリアル女子ぞ
不知火 :女子(社会人)!!
ミコト :自分で主張していく
名無し :つよい
九鬼 :隣でその狂キャラ女子に可愛いでしょポーズを見せられてるんだけど
「何をやっているの?」
ソフィアは目の前の2人を、小首を傾げつつ半眼で見て微笑んだ。
――ここは暗殺組織ギルド「ネクロラトリーガーディアン」の拠点、隠れ地下街。
名前に相応しく、ネクロアイギス王国領地の街道の墓地に正規の出入り口がある場所だ。
隔離された特殊フィールドで、地下にありそこそこ広い。店に教会、公園にNPCの住居などもある。様々な地下道や地下施設とも地続きで、特殊衛星信号機もあり、この地下から表に出ずに遊ぶギルドプレイヤーも多い。
その筆頭といえる暗殺組織ギルド幹部『不知火』は、円卓の上に立って意味不明のポーズを決めていた。隠れ地下街の中心にある、煌びやかな教会の最上階の一室での出来事である。
そして今、ログインしたばかりのソフィアの隣にはカフカがいた。かの秀麗な麗人NPCは、顔を曇らせている。
平人女性の不知火はキリッとした表情を作ると、その場でひざまずいた。平人男性の『九鬼』の方は不知火から数歩の距離を地味に取り、ひっそりと一礼する。
「ギルド長! カフカ様! おはようございますこんにちは、そしてこんばんは!! カフカ様の下僕っ、お目覚めからおやすみまでご一緒したい不知火です!」
カフカは不知火から静かに視線を逸らし、ソフィアへと告げる。
「……テーブルから降りるようにと」
「ギャアアアッ! この角度からもお美しくて尊さで目がッ目がつぶれるぅぅ!!」
「不知火、カフカ様がドン引きだから自重するのなの」
その後、不知火の《NPC友好度一覧表》のカフカの好感度はまたひとつ下がったのだった。
不知火は本編で出ても、おしとやかなRPをするのでご安心ください。
九鬼とはリアル姉弟です。