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009 入ってても入ってなくても俺の評価が大炎上しそうな件

■以下修正しました。(2019/04/18)

・セイカのナツキへの呼び方はナツキ君でした。

翌日。

ミラさんと合流して、憲兵詰所に行く予定だ。

可能なら教会にも行きたいところだが…さてさて。


「ジャンヌとセイカさんに話があります。まずはジャンヌから。」

「あぁ、何だ?」

「今日はこれから憲兵詰所に行くんだけど、憲兵として働いてみる気は無いか?」

「憲兵…これは主としての奴隷への命令なのか?」

「嫌なら拒否してもらっても構わない。ただ、暇ならやって欲しいと思ってる。」

「…暇なのは確かだ。とりあえず、見てから決めてもいいか?」

「あぁ、それでも構わない。後で一緒に行こう。」


「セイカさん。」

「何でしょうか。」

「セイカさんは今後どうしますか?」

「どうする、というのは?」

「例えば元のせk…元の国に戻る方法を探すとかあると思うけど。」

「あー、そうだよね。探すか、ナツキ君のところで静かに待つか。」


「もちろん、どうするかは強制ではないよ。ただ、ここでダラダラ過ごす場合は、やって欲しいことがある。」

「何をやることになるの?」

「ワケあって、もう1つ屋敷を手に入れたのだが、俺の代理としてその屋敷の主として振る舞ってもらえればいいかな。」

「なるほど。社長椅子でふんぞり返っているだけの楽なお仕事ですね。でも暇そう。」

「これについては、今すぐ決めなくても大丈夫だからね。」

「分かったー。」


もう1つの屋敷。

タンブル元伯爵の屋敷か。

今はメイドさん達が住み込みで状態維持しているだけだよな。

宿屋かアパートなどで商売でもしない限り、赤字物件になるはず。

今の内に何か考えとかないと危険だな。


そうこうしている内に、ミラさんがやって来た。

「よし、ルート、カノン、ラキエル、ジャンヌ、行くよ。」

しかし憲兵詰所は隣なんだよな。


憲兵詰所。

俺達が行くと、憲兵長が出迎えてくれた。

「ナツキ大公様。私は憲兵長のロンと言います。」

「まず、代表者会議で決まったことを指示する。ロンさんには、しばらくの期間、こちらのミラさんと共に俺と同行してもらい、俺の力を見極めてもらう。」

「はい。確かにご指示を承りました。ところで、大公様のお力というのは…?」

「魔人討伐の力、部位欠損の治療、死者蘇生の3点です。」

「…は?えーと…え?大公様がそれらをお一人で実現なされる、と?」

「うん、そういうこと。それはさておき…。」


無理矢理だが、話題を変える。

「憲兵たちの様子というか、訓練してるところなどを見てみたいのだが、いいだろうか?」

「ええ、構いませんよ。それではこちらにどうぞ。」


連れて行かれた先では、憲兵たちが実戦さながら、剣で斬り合っていた。

「ジャンヌ、憲兵たちはどうだ?」

「うーん、正直なことを言ってもいい?」

「ん?あぁ、構わんぞ。」

「こんなに弱くても憲兵が務まるのか?」


「今、何て言った?」

憲兵長のロンが、ジャンヌの言葉に反応した。

「こんなに弱くても憲兵が務まるのか、と言った。」

「ほう?ではそんなことを言うそなたは、さぞかし強いんであろうなぁ?」

「もちろんだ。試してみるか?」

「両者そこまでだ。」


両者が柄に手を当てたところで、俺は2人を止めた。

「大公様。止めないでください。」

「ご主人様よ~。今いいところなんだからさ~。」


「ロンよ。俺からもハッキリ言おう。憲兵たちの強さに関しては、ジャンヌと同意見だ。」

「そんな、大公様まで…。」

「よし、ロンよ。憲兵たちを集合させて欲しい。」


「俺の名はナツキ。最近、大公になったナツキと言えば分かるか?」

俺が大公だと知ると、憲兵たちは敬礼をする。

「あ、あぁ、楽にしていいぞ。あとロン、あのカカシを斬ってもいいか?」

「はい。」


「みんなに質問だ。この娘はジャンヌと言うが、ジャンヌより自分の方が強い、と思う者は挙手せよ。」

これで全員ではないだろうけど憲兵50人の内、30人ぐらいは挙手しているだろうか。

ロンも挙手している。

「分かった。次の質問だ、俺より自分の方が強い、と思う者は挙手せよ。」

みんなざわざわしだすも、誰も手を挙げようとしない。

「ここで手を挙げても不敬罪とかそういうつまらんことは言わないから、正直に手を挙げて欲しい。」

ここまで言って、やっと挙手してくれるようになった。

うわぁ、ロンを含む、ほぼ全員が挙手しやがった。


前準備も済んだことだし、ここでジャンヌと俺のパフォーマンスを見せる時が来た。

「ジャンヌ、まずはこの木刀でカカシを斬ってくれ。」

「あぁ分かった。」

憲兵たちが見守る中、ジャンヌはカカシの前に立ち、構える。

そして  一閃!


次の瞬間、カカシの上部が、くるくる回りながら上の方に飛んでいき、最後には地面に叩き付けられる。

刃のある剣で斬るように、刃の無い木刀で斬ったこともあり、憲兵たちはポカーンとする。

「さて、これを見て、ジャンヌより自分の方が強い、と思う者は挙手せよ。」

そして誰も手を挙げるものはいなかった。


「さて、次に俺の番だが、まずこの剣をみんなに見てもらおう。」

俺は自分の剣を憲兵たちに渡し、見てもらい、返してもらった。

「見ての通り、刃こぼれしてるしサビも付いてるような粗悪な剣を、俺はいつも使っている。」

俺はカカシの前に立ち、構える。

「あ、ロンさんは右から、ミラさんは左から見ててください。」

2人が移動したのを確認してから、再度、俺は構え直す。


そしていつも通り、斬り始めた瞬間、斬り終えた。


「はい、もう斬りました。」

憲兵たちがざわざわする。

「ミラさん、そのカカシを調べてみてください。」

「は、はい。」

ミラさんはカカシに近付き、恐る恐るカカシに触れた瞬間。


カカシが何分割にも裂け、崩れ落ちた。


「さて、ロンさんとミラさん、魔人討伐の力、これで判定できないかな?」

「大公様。今の大公様の斬撃を見て、魔人を倒しうる力が大公様にあると判断しました。」

「斬ったことに気付かれず、一瞬の間に何度も攻撃したナツキさんはすごいと思います。例え魔人が相手でも引けを取らないのではないでしょうか。」

「というわけで、私もミラさんも、大公様には魔人討伐しうる力があると判断しました。」

これだけ抽象的だから一番難しいと思ってたんだけど、何とかOKをもらうことができた。


「さて、判定もうまくいったことだし…俺の攻撃を見て、俺より自分の方が強い、と思う者は挙手せよ。」

こちらについても、誰も手を挙げるものはいなかった。


「みんな聞いてくれ。結局、相手の力量ですら、実際に攻撃とかを見ないと分からない結果となり、相手の力量を予測できる程、みんなは強くはなかったということになる。今の力でも一般市民相手なら勝てるだろうが、ちょっと強いのが出てくるだけで、1対1では勝てなくなったりするだろう。」

「うぅ、返す言葉もありません。大公様。」

「だからこそジャンヌよ、どうしたら良いと思う?」


「ここでこっちに振らないでよ。しかし、結局は修行と実戦あるのみだと思う。」

「でも誰か強い人が憲兵に入れば、効率良く強くなれそうな気がするなぁ。」

「…あー、分かったよ。憲兵に入ればいいんだろ。」

「すまないな。あと何か入用なら、これで買ってくれ。」

俺は金貨1000枚入りの巾着をジャンヌに手渡した。

「こんなにいいのか?」

「構わん構わん。もし足りないようなら言ってくれ。追加で渡すからさ。」

「あ、ありがとう。」

「というわけでロンさん、ジャンヌを憲兵に入れて欲しい。」

「了解しました。」


「ロンさんちょっといいか?」

「何でしょうか大公様。」

「さっきは『弱い』などと、少し言いすぎた。スマンな。」

「いえ、とんでもございません。我々が弱いのは本当のことですし。」

「弱いと言ったが、お前達は上手くこの仕事を回せているんだ。決して弱くない。」

俺は続ける。

「だが、例えば巡回で1チーム10人で回していたところを、1チーム5人で回せるようになったらどうだ?」

「その分、他の者の仕事が少なくなる…で合ってますでしょうか。」

「それもある意味正解だが、他の仕事に手を回すことができる、または人手を抑えることができる、の両方が正解かな。」

「…大公様、もしかしてとてつもないことをお考えでしょうか。」

「いやいや、そんなことは無いよ。それよりも、憲兵の仕事についていくつか確認したい。」


ロンさんに聞いたところ…。

仕事については、朝から夜までで、訓練と街の巡回でローテーションとなっている。

俺がいなくても、訓練と街の巡回に支障はないとのこと。

ただし重要な会議などには出て欲しいとのこと。


お金回りについては、毎月、国から一定金額がプールされ、そこから必要経費や給料などを出しているらしい。

今後は、俺に対しても給料が支払われるらしい。


なお、運営状況は健全らしい。


憲兵についてはこんなものか…お昼が近いし、一旦戻るか。

俺達は屋敷に戻り、ロンさん、ミラさんと共に昼食を取った。

俺はロンさんとミラさんと共に、次の目的地である教会に向かった。


教会では、神父が出迎えてくれた。

「大公様。お話は伺っております。私は神父のブラウンと言います。」

「あぁ、ブラウンさん、よろしく。早速だが、教会の仕事について、いくつか確認したいのだが。」


ブラウンさんが言うには…。

神父とシスターで教会を運用している。

来会者の悩みや懺悔などを聞いたり、一緒に祈りを捧げたりする。

孤児を引き取ったり、引き取った孤児を養護する。

死者を弔ったり、葬式を開催したりする。


タンブルが運営していた頃は、孤児を奴隷化して売却したり、気に入ったシスターを奴隷化して好き勝手にいろいろやっていたらしい。

元タンブルの屋敷の地下のたくさんの牢屋は、こういうことに使われていたんだろうな。

なお、神父には俺はそういうことをしないことを名言した。


お金回りについては、毎月、国から一定金額がプールされる。

そしてそこから必要経費や給料などを出しているらしい。

また、葬式や寄付による収入もあるらしい。

俺への給料も出るらしい。


なお、運営状況は健全とまではいかないが、とりあえずは何とかなっているらしい。


で、俺が気になっているのは寄付だ。

ブラウンさんに確認したところ、タンブルが運営していた頃は、寄付の金額の大半はタンブルに流れていたらしい。

で、その見返りにタンブルが寄付者に対して何らかの便宜を図っていた、または何かを与えていたようだ。


ブラウンさんにはタンブル時代の寄付がどうなっていたのか、調査をお願いした。


俺達は教会を後にし、下水道管理棟に向かった。


下水道管理棟。

「大公様。ようこそおいでくださった。私はこの管理棟の管理を任されているスミスと申します。」

「よろしくスミスさん。」

出迎えてくれたのは、この管理棟の管理者であるスミスさん。

「早速だけど、ここの仕事内容について確認させて欲しい。」


スミスさんの話によると…。

管理者スミスさんと副管理者2名の計3名で、朝から晩まで管理棟に常駐するのが基本とのこと。

そして、定期的な下水道の見回り。

地図の管理も行う。

また、下水道の異変の報告があれば、それを確認するのも仕事の内とのこと。

下水道を見回っている内に、大ネズミやスライムが大量発生しているのを確認したら、数を減らすため、冒険者ギルドに討伐の依頼を出す。


仕事内容については概ねこんな感じ。

お金回りについては…。


国から直接給料が支払われる。

冒険者ギルドの報酬も、国から冒険者ギルドに後払いで支払われる。

どうやら、俺にも給料が支払われるようになるらしい。


そんなわけで運営状況は健全にしかなりようがない。


「以前は、タンブルに2種類の地図の作成を指示されてませんでしたか?」

「ほう、大公様、よくお分かりで。」

スミスさんは2つの地図を机の上に広げる。


「…なるほど。出入口が1つしかない方が公式な地図で、入口がたくさんある方がタンブルの欲しがった地図ってところかな?」

「よ、よくご存知で。タンブル元伯爵からは、こっちの地図は誰にも見せるなと言われています。」

「スミスさんは、こちらの地図について、他にタンブルから何か聞かされていますか?」

「いえ、誰にも見せてはいけないことと、この地図について口外しないことぐらいしか言われていません。」

「なるほど。では引き続き、禁止事項を守ってください。あ、この地図はひとまずこちらで回収します。」

「分かりました。」


情報も集まったことだし、下水道管理棟を後にしよう。


夕方。俺の屋敷。

応接間でロンさんとミラさんに、今日の結果を報告する。

「魔人を討伐する程の力、部位欠損の治療、死者蘇生の3つの力が俺にあるかを見極めてもらうために、2人には同行してもらっていますが、これからも大丈夫そうですか?」


「大公様、憲兵の方は私が抜けても大丈夫なようにしておりますので、ご安心ください。」

「私も、イスニアの冒険者ギルド窓口をしばらく抜けても大丈夫なよう、ギルド長に取り計らっていただきましたので問題ありません。」


「そ、そうか。あと残り2つ。部位欠損の治療と死者蘇生を示す機会が早く来ればいいんだけどね。」

「ナツキさん。部位欠損の治療や、死者蘇生といった、そんな奇跡、本当に有り得るのでしょうか。」

「それが本当なのか確認するのが、ミラさんとロンさんのお仕事ですよ。」

「いえ、そうなのですが…そうなんですよね。」


「ところでミラさん、今日もしウチに泊まるのであれば、部屋を用意させますが?」

「お願いできますか?できれば…同行している間も…。」

「構いませんよ。」

「あ、ありがとうございます。」


「ロンさんは隣ですよね?」

「ええ、憲兵詰所での住み込みですので。それでは私はそろそろ戻ろうと思います。」

「「ロンさんお疲れ様です。」」

俺とミラさんの声が被った。

お互いの顔を見合わせ、微笑んだ。


「実はナツキさんってすごい身分の高いお方だったのですね。やはり大公様とお呼びした方が…。」

「呼び方はいつも通りで構わないよ。身分については…どこから話そうかな。」


コンコン。

扉のノック音が部屋に響く。

「私が出ます。」

ルートが応対するらしい。

ちなみに今までほとんどしゃべらなかったが、ずっと、ロンさんとミラさんだけでなく、ルート、カノン、ラキエルとも同行していた。


「ナツキ様、来客の方が帰られたみたいですが、今は大丈夫ですか?」

「マリアさん、丁度良かった。マリアさんにも聞いて欲しい話があるから、こっちに来てもらえますか?」

「え、ええ。分かりました。」


マリアさんの登場に驚くミラさん。

「え?そんなまさか…英雄姫、マリア殿下?」

「はい、私が英雄姫マリアです。」

すかさずひざまずくミラさん。

「あ、いいのですよ。ここはお城の中でもありませんし。」

「…それではお言葉に甘えさせていただきます。」


「えーと、マリアさん、こちらはイスニアの冒険者ギルドのミラさんです。」

「ええ、代表者会議にも出席されていて、今はナツキ様に同行している2人の内の1人ですよね。」

「はい、ギルド長になぜか推薦されまして。」



「さて、話を戻そう。俺の身分についてだったな。」

そう、大公という、王族に次ぐ地位に自分が着くなんて、思いもしなかったんだ。


俺はミラさんとマリアさんに話した。

最初は爵位とか何も持たない普通の一般市民だったこと。

王族や国を助けるようなことを何度もしてしまい、結果、大公というとんでもない地位を手に入れてしまったこと。


具体的に何をやったかというと…。

マリアさんの両足欠損を治療したこと。俺が治療しなければ、出血多量で死んでいただろう。

魔人ガンドロを倒したこと。俺が魔人ガンドロを倒さなければ、マリアさんは殺されていただろうし、国も乗っ取られていただろう。

魔人ガンドロに既に殺されていたステラさんとレイナさん。俺が蘇生させなければ、当然死んだままだった。

タンブル元伯爵が監禁していたエルフの女王様の救出。もし救出が遅れれば遅れる程、たくさんのエルフが死ぬことになっており、エルフの人間への恨みを大きくするだけでなく、エルフ対人間の戦争に発展していたかもしれない。

エルフの女王様救出後の、エルフの村の惨状に対応したこと。俺が治療しなければ、エルフとの折衝の道が完全に途絶えていただろう。


「…ナツキさん、こんなに功績を挙げていれば、今回の大公任命は当然のことです。むしろ大公でもまだ足りないかもしれません。」

「そ、そういうものなのか。」

「ナツキ様、私との結婚は?」

「しません。」


「ナツキさんのお屋敷にマリア殿下がいらっしゃるということは…もしかして何か重要な案件がありますか?私、席を外しますけど。」

「あ、私、ここに住んでいます。」

「…………え?つまりナツキさんとマリア殿下は同棲している…と?」

「同棲という言い方はやめて欲しいかな。マリアさんは同居人ね。」

「ひ、酷いわナツキ様。あの時の熱い夜をお忘れになったのですか?」

「熱い夜…。」

「そこ、無いこと無いこと吹聴しない。」


「なるほど、つまりその時与えられたこのお屋敷に、だまし討ちでマリア殿下が付いてきた、と?」

「そうそう、そういうこと。」

「でも酷いんですのよ。ナツキ様は夜這いに来ないし…。」

「するか!」


「…え?ミラさん何で泣いてるの?」

「あ、あれ?何で涙が…。」

何か、自分でも分からない内に泣いてるようだった。

「…ナツキ様、ミラさんを私の部屋にお連れしますね。」

「あ、うん、よく分からないけど、ミラさんのことを宜しくお願いします。」


マリアさんに連れて行かれるミラさん。


「ルート、もしかして俺、何かやらかしたかな?」

一言もしゃべらず、ずっと佇んでくれていたルート、カノン、ラキエル。

「ご主人様。ミラ様のお気持ちにはお気付きになられておりますよね?」

「ミラさんの気持ち?イスニアの冒険者ギルドでは大変お世話になったし、親しくもなったと思うが…ルートが言いたいことはそういうことではないんだろうな。」

「はい。ミラ様はご主人様のことが好き、そう申しております。」


ミラさんは俺のことが好き…だと?


「いやいやいやいや、まさかそんなことあるはずが。」

「いえいえいえいえ、そんなことがあるのです。」

「えー。じゃ、じゃあカノンとラキエルはどう思う。」


「そっと抱き寄せてキスの1つや2つでもすれば、落とせると思います。」

カノンさんや。ミラさんを落とす方法は誰も聞いてないぞ。

「いっそのこと、押し倒せば解決だろ。」

ラキエルさんや。天使なのにそんな意見が出ちゃっていいのか?


「カノンとラキエルの意見はどうかと思うが、ルートの言うことは心の片隅に置いておくよ。」

ルートの頭を撫でてあげている時、マリアさんとミラさんが戻ってきた。


「殿下が仰った通りですね。」

「全くもって、危険ですわね。」

「ん?何の話だ?」

「「私達だけの秘密です。」」


何だろう。

心なしか、マリアさんとミラさんが仲良くなってる気がする。


そしてトラブルもなく今日は過ぎ去っていった…ら良かったんだけどね。

風呂に入っている時、マリアさんが高確率で乱入してくるのはいつものことだが、今日に至っては、ミラさんまで乱入してきた。


「マリアさん、さすがにそろそろいい加減に…え?ミラさん!?」

振り向いたところで、目の前にマリアさんではなくミラさんがいた。

「あっ、ダメ!見ちゃ嫌!」

俺とミラさんが向き合う状態となり、身体を見られたくなかったのか、俺に抱き付き、密着状態になるミラさん。

まぁこれならミラさんの身体は見えないよ。

見えないけど、これだとミラさんの身体の感触が直接…。


「マリアさん。さすがにミラさんを巻き込んじゃダメでしょ。」

「こればかりは面目ない。」

反省したのか、しょぼーんとするマリアさん。

「というかミラさん、お願いだから力をゆるめて。」

ミラさんが両手両足で俺にしがみついて、必死にその状態を維持しようとしているようで、全然離れる気配がしない。


というかこの体勢は、何か、非常に、危険な気がする。


※この後、ミラさんと特に何かあったわけではないので、期待しないでくださいね。

※マリアさんの部屋に連れて行かれたミラさん。その時のやり取りはメモっているけど、2人だけの秘密なので封印しています。

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