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007 最後があっさりしすぎて皆から批判炎上しないか不安な件

いつまでも現実逃避してても仕方が無いので、2人のステータスをちゃんと見てみるか。

まずは勇者。


■ジャンヌ(女)

・人族

・奴隷(!)-勇者

・レベル30

・HP220/250

・MP145/150


■ステータス

・攻撃力80

・防御力65

・魔法力30

・素早さ70

・運50


■物理スキル

・剣4(ロック中)

・槍4(ロック中)

・弓4(ロック中)

・盾4(ロック中)


■魔法スキル

・ファイア1(ロック中)

・アイス1(ロック中)

・ウインド1(ロック中)

・グランド1(ロック中)

・サンダー1(ロック中)

・ヒール1(ロック中)

・キュア1(ロック中)


■パッシブスキル

・心眼4(ロック中)

・勇者4(ロック中)


勇者なのだから強いはずなのだが…あまり強くないように見えるのは気のせいか?

いや、ウチの魔王や神の強さがおかしいだけか。


次に異世界人の星使い?のステータスを見てみる。


■セイカ(女)

・人族(!)-異世界人

・奴隷(!)-星使い

・レベル5(!)-レベル63

・HP30/40(!)-440/450

・MP45/50(!)-540/550


■ステータス

・攻撃力5(!)-330

・防御力3(!)-320

・魔法力8(!)-173

・素早さ2(!)-120

・運4(!)-15


■物理スキル

・杖1(!)-杖82(ロック中)

・大斧1(!)-大斧125(ロック中)


■魔法スキル

・ヒール1(!)-2(ロック中)

・キュア1(!)-2(ロック中)

・占星術1(!)-12(ロック中)

・小星落とし1(!)-78(ロック中)

・中星落とし1(!)-54(ロック中)

・大星落とし1(!)-48(ロック中)


■パッシブスキル

・他言語翻訳1(ロック中)

・チュートリアルクエスト10(合格済み)

・???(!)-ステータス偽装10(ロック中)


異世界人は、下手な勇者より強かった。

というか星使いというのは前衛職なのか?

物理で殴るステータスだぞこれ。


あと、種族と職業以外のステータスにビックリマークが付いているのは、『ステータス偽装』とやらのスキルの効果だろうな。


買わざるを得ないか…でもそんなにお金持ってないぞ。

あ、魔人討伐の褒賞金という名目で金貨ガッポリもらってたな俺。


というわけで結局、買ってしまった。


自室。

マリアさんにお願いして、急遽ベッドの数を2つ増やしてもらい、新たな2人にベッドをあてがった。


「カノンとラキエルは、スキル制限を受けていた時、どんな感じだった?」

「スキルと感情が制限されていました。」

「しかもそのことは誰にも言うことができないとか、最悪な呪いだったぜ。」

「なるほど。ちなみに元が特殊すぎる種族や職業の奴隷には、こういう呪いが掛けられてしまうものなのか?」

「あの呪いは、あくまで主が奴隷に施すものであって、普通は奴隷に掛けることはありません。」

「主が奴隷に呪いを施し、そして奴隷商に売る。奴隷は本来の種族や職業を明かせず、スキルも使えなくなり、感情も抑えられてしまう。」

「主が奴隷を壊して要らなくなった後にその呪いを掛け、奴隷のその後の絶望する様子を想像して楽しむ…端的に言うと嫌がらせです。」


へー。

そういうこと。

そういうことなんだ。


その時カノンとラキエルそれぞれに両腕にしがみつかれた。

「私達のことは後で構いませんから。」

「まずは新入り2人を見た方がいいんじゃね?」


数秒。

2人にしがみつかれるまでの数秒、我を忘れ、意識が飛んでいたかもしれない。


気を取り直して、1人ずつ呪いを外すか。

それにしても、呪いが状態異常の扱いだなんてな。

まずはジャンヌに手をかざし…。

「キュア!」


ジャンヌの目に光が宿っていく。

「気分はどうかな?勇者ジャンヌさん?」

「な、なぜ私が勇者だと分かった!?」

「それは何となく、ということで。」

「…まぁいい。それよりも魔人ガンドロがこの国を狙っている!早く国王様のお耳に…」

「ガンドロなら第三王女が倒したぞ。」

「………は?」


ゆうしゃはこんらんしている。

あえてこの状況を文章で説明しようとするとこんな感じか。


俺は呼び鈴を鳴らし、メイドさんを通じて、マリアさんを呼び出す。

そして新入り2人を一瞥してマリアさんが俺の両肩をガッツリ掴む。

「ナツキ様、夜がお寂しいなら、私にご相談いただければ宜しいのに…」

「違うし、勘違いとはいえそんな哀れむような目でそういうガチ心配するのはやめて。」


「…というわけで、多分ガンドロの策略で奴隷にされてしまったらしい勇者さんは、どうにかして国王にガンドロが国を狙っていることを伝えたいんだって。」

「え?でもガンドロはナツキ様が…」

「ゲホンゲホン!」

「ではなく、ガンドロは私が倒しました。」

マリアさんがあっさり本当のことを言いそうになったものだから、思わず咳払いしてしまった。


「それではえーと、勇者ジャンヌ様、とりあえず私の父に報告をお願いできますでしょうか。」

「かしこまりました。王女マリア様。」

「ナツキ様、このままジャンヌ様をお連れしても…?」

「大丈夫だよ。」


姫様に連れられていく勇者。

本来はこうあるべき姿なんだろうな。


さて次は、セイカさんに手をかざし、叫ぶ。

「キュア!」

セイカさんが徐々に正気に戻っていく。


「えーと…状況を教えてもらっても宜しくて?」

「あ、あぁ、まずセイカさんが奴隷商で売られていたのを俺が買った。」

「ありがとう。えーと…ナツキさん。いえ、ご主人様と呼ぶべきでしょうか。」

「好きな呼び方で構わない。それよりも…」

セイカさんの耳元でつぶやく。

「異世界人だよね?」


「え?偽装掛けてるのに良く分かったね?ということはあなたも『勇勇輪舞ゆうゆうロンド』のプレイヤーなんだよね?」

「え?なんて?」

「『勇勇輪舞(ゆうゆうロンド)』、正式タイトルは『勇者と魔人と神と魔王と、勇気と混沌と愛と死の輪舞(ロンド)』よ。やっとNPCじゃなくプレイヤーに出会えた。」


「みんなスマン。セイカさんと2人で話をしなければならんから、みんなは廊下で待機。誰も部屋に入れさせないように。緊急時は入ってもらって構わない。」

手早くみんなに命令し、俺はセイカさんと2人きりになる。


セイカさんの口ぶりだと、この世界は『勇者と魔人と神と魔王と、勇気と混沌と愛と死の輪舞(ロンド)』、略して『勇勇輪舞(ゆうゆうロンド)』というゲームの中の世界だということになる。

「それにしてもナツキ君の偽装スキルも半端ないよねー。こっちからはレベル1で攻撃から運までのステータスがオール1に見えるよ。」

セイカさんが指で何かを操作?している。

そうか、ゲームならインターフェースの操作だよな。


「…ナツキ君、ナツキ君は本当に『勇勇輪舞(ゆうゆうロンド)』のプレイヤーなんだよね?プレイヤー一覧に表示されないし…偽装でもそこまで隠せないよなぁ。」

「実は俺、プレイヤーじゃないんだわ。」

「え?嘘?」


俺は、セイカさんに俺がこの世界にきた時の経緯を軽く説明した。


「病死したらこの世界に放り出された、と。」

「うん。一言で言うとそうだけど、いやそうなんだけど。」

一言でまとめられると何か嫌だなぁ。


「ちなみにその『勇勇輪舞(ゆうゆうロンド)』というのは、フルダイブ式のVRMMORPGなのかな?」

「そうだよー。」

「ということは、やはり俺の時代には存在しないゲームだな。VRゴーグルがやっと出てきたってぐらいの時だったからね。」


「あ、私の経緯も教えとくね。」


セイカさんが言うには、普段通り毎日プレイしてたら、ある日、突然視界がブラックアウト。

気が付いたら奴隷になっており、しかも他言語翻訳のスキルが使えなくなってて言葉が通じず、詰んだと思ってたところに俺が現れた、ということらしい。


「そういえば私を奴隷から解放してもらえると助かるんだけど…?」

「今のところ解放する方法ないんだよね。」

「マジですかー。」

「まぁ悪いようにはしないし、衣食住は保障するからさ。理不尽な命令もしない。これは約束するから。」

「んー。仕方ないかー。」

「そういえばログアウトはしないの?」

「それが実はさっきからメニューを確認してるんだけど、ログアウトができないんだよねー。」

「そ、そうか…。」


お互いの状況も分かったところで、廊下に待機させていたみんなを部屋の中に入れる。

丁度、ジャンヌとマリアさんも戻ってきており、アンナさんとアリスさんも部屋に入る。


つまり、今部屋には俺、ルート、カノン、ラキエル。

ジャンヌ、セイカさん。

マリアさん、アンナさん、アリスさん。

かなりの大所帯に…いや最後の3人は別の部屋だから、この部屋で過ごす実際の人数は6人だな。


とりあえずルート、カノン、ラキエルには、ジャンヌとセイカさんと一緒に風呂に入ってもらうようにし、その間、マリアさんから王様とジャンヌさんとの話とかどうなったか聞くことにした。


「マリアさん、ジャンヌへの説明はどうだったかな?」

「今から父上からの伝言をお伝えします。」

またこのパターンか?


「魔人を瞬殺できる者が近くにいて、宝剣の奇跡という話は無理があるじゃろ。」

「ジャンヌ殿には、マリアから本当のことを伝えてもらうことにした。」

「ところで、いつになったらマリアと寝るのじゃ?」


ん?3つ目。

「マリアさん、最後のは本当に王様が?」

首ごと目を逸らすマリアさん。

嘘付いてるっぽいな。

あ、首元から赤くなってるし、自分で言ってて恥ずかしくなってね?

とりあえずスルーしとくか。


翌日。

ジャンヌとセイカさんの力を見るため、俺は2人を連れ、装備品を整え、討伐系クエストを受注する。

なおジャンヌには剣と盾を、セイカさんには杖と大斧を買い与えた。


ちなみにルートが同行したがっていたが、カノンとラキエルが何か気になることがあるということで、3人はお留守番だ。


そして今日は、俺の攻撃が霞むぐらい、セイカさんの大斧が猛威を振るった。

森の一部が一瞬にして荒野と化したのだった。

さすがに自然破壊は良くないとして、すぐセイカさんを止めて被害拡大を防いだのは不幸中の幸いだった。

即刻セイカさんには大斧の使用禁止を命じたのは、言うまでも無い。


それよりも、ジャンヌが俺やセイカさんの力を見てパニクッてた。

ジャンヌ自身の強さは、どちらかというと脳きn…ではなく物理攻撃主体で、スキルレベル4というのも、この世界では『上級』と呼ばれたスキルよりも1段階秀でていることを意味しており、決して弱いわけではない。

むしろこの世界では強い部類のはずだ。


だが、俺やセイカさんがバランスブレイクしているせいで、勇者としての自信とか、現状の俺達のわけの分からない力とか、そういうのが消化できずに自分の中の感情として残っているのだろう。


こればかりはアドバイスしようもないし、自分で乗り越えてもらうしかないだろうな。


3人で討伐クエストをこなした後、家に戻った。


俺はとある可能性について考えていた。

セイカさんが言うには、ここはゲームの世界。

だが俺にとってこの世界は…異世界とは言え、どう見ても現実の世界。


いや、考えるのはよそう。

例えここがゲームの世界だったとしても、元の世界に戻れたとしても、病死寸前か、病死後の身体に戻るだけだろう。

元の世界に転生して赤ちゃんからやり直し、という奇跡みたいなことでも起きない限り、元の世界に戻るのは不可能。


とりあえずこの世界でセカンドライフを楽しむし、その後のことはその時に考えれば良い。


「ご主人様。少し宜しいでしょうか。」

考え事に浸っているところで、カノンから声を掛けられた。

「あぁ、どうした?」


自分のベッドに座っていた俺の両隣に、カノンとラキエルが座る。

「やっぱり遠くからルートの様子を伺う奴がいたぜ。」

今ではもう慣れたが、神なのに少し口調が乱暴なラキエル。

「私の調べでは、あれは、ルートを奴隷商に売り飛ばした貴族とその関係者だと思われます。」

魔王なのに丁寧な口調のカノン。

というか、えらく仕事が早いな。

「もちろんマリア様にご協力をいただきました。」

なるほど。


ルートを奴隷商に売り飛ばした貴族。

ということは、ルートの右目と左腕を欠損させた奴…ということか。

思い出したくないことかもしれないが、ルートの意見も聞いておくか。


「ルート、ちょっとこっち来てくれ。」

と、来てくれたルートだが、少し機嫌が…悪い?

「私だけ仲間外れなんですね。カノンさんとラキエルさんを両側に座らせて…。」

あ、拗ねてる。

これを解決するには…ルートも座らせれば良いのか。


「ルート、ここに座って。」

「え?いいのですか…それでは失礼します。」


いや、何か違うと思ってた。俺は思ってたんだよ。

最初から、俺は何かが違うと思ってたんだ。


俺の膝にルートを乗せた結果、コレジャナイ感が半端なく、結局俺達4人は横並びに座った。


周りに女の子をはべらせると嫉妬の炎で俺が炎上する件 完。

※こんなサブタイトルはありません。


「そういうわけで、ルートを傷付けた奴が同じ街にいるのは不安だと思うが、ルートはなるべく家から出ないこと。」

「はい。」


十中八九、向こうからちょっかいを掛けてくるだろう。

もちろん向こうからちょっかいを掛けてくる場合、全力で潰す。

ルートの右目と左腕に酷いことをした奴を、本気で潰す。

俺は心の中でそうつぶやいた。


その2日後、カノンが誘拐された。

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