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プロローグ
ひっそりと始めて行きます。かなり不定期。ちょっと切ない物が書きたくなったのでした。
秋の収穫時。
辺りは一面、黄金色の麦の穂がゆらゆらと揺れて、美しい波模様の絨毯を作っている。
見上げれば門。
頑丈で、何世紀もそこから動かず、風雨で削れて、歴戦の戦士の様な趣だ。門から上を見上げれば、同様に堅固な、石造りの砦が見える。
この土地に、ずっと来てみたかった。
私の大切な人たちの、由縁の土地。
お師様の生地であり、婚約者の死地である、この北の土地に。
…まさか、こんな形でとは、思いもしなかったけれど。