小さな女の子
初心者です。感想、ブクマくれたらバク転して喜びます!
これは私がメロンパン食べながら、読書していた時のお話です。それはそれはファンシーでファンタジーな内容だったのですよ?
本のページも残りわずかになって、もうすぐハッピーエンドって時に急に体が軽くなった気がして、気づいた時には宙に浮いていたのです。本当に不思議な感じだったのですよ?そして次の瞬間には視界がぐるぐる回って本の中に吸い込まれていったのです!本当ですよ!?「ふわわぁ」って浮いて「ぐるぐる」回って「すうぃーん」って本の世界に吸い込まれてしまったのです。
もー嘘じゃないんですよ?
そしてこれから書く物語は、その時私が体験した事をちょっとだけ大袈裟に描いた物です。
ごめんなさい、これから先が本当の本編です。
ーそれでは、はじまりはじまりー
大小様々な木々が生い茂る森の奥深くで、二十歳にも満たない若い少女が一本の大木の根元で横たわっていた。
時刻も遅いのだろう、電灯のない森の中で唯一あたりを照らしてくれる日の光はもう沈み始め、森の中は薄暗くなっていた...。
私はぼんやりと目を覚ました、完全には開ききれない瞳をごしごし擦りながら、周りを見渡す。始めこそポカーンとしていたが、周りの様子がおかしい事に気がつき、驚きで私の両目は無意識にも見開かれた。
そこには普段、部屋から出ない私の目にはとても見慣れない光景が広がっていた。
薄暗くてあまり遠くまでは見えないが、森か山の中って事は、容易に想像できる。だが、だからといってそう簡単に受け入れられる訳が無かった。
私はさっきまで部屋で本を読んでいた...はず...???
...寝落ちしてしまった...?
これが夢であってくれという様に掌で自らの頰に優しく触れる、しかし伝わってくるのは夢であるいということを否定するようなリアルな感覚。
逆の頰を掌で叩いて見たが、痛いだけで夢から覚める事は無かった。
...夢じゃないの?
夢じゃないなら何!?
信じられないというように、周りを見渡しながら、木を支えにゆっくりと立ち上がる。
「───キャッ」
小さな悲鳴が足下から聞こえた。
ひぃ!?
思わずビクッっと体を震わせてしまう。
とても小さな声だったのだが、今の私を驚かせるには充分だった。
思わず声の聞こえた方に視線を向けると、掌サイズの小さな女の子が地面にお尻をつけて私を見上げていた。可愛らしい真っ赤なスカートの奥から伸びるスラッっとした綺麗な足をガクガク震わせて、私を見つめる双眸から驚きと恐怖が伺えた。そしてそれは体を動かす事を忘れてしまうほどだったらしい、呼吸さえも止まっている。
立ち上がらせてあげようと、そっと手を伸ばすと、今度は小さな女の子が「ひぃ!?」っと声をあげ、やっと思い出したように体を動かし私から逃げようとするが、動揺しすぎて両手両足を同時に動かしてしまっているため自分で立ち上がることさえも出来ずに、ただ赤ん坊のようにジタバタしてるだけだった。
そんな様子の女の子がなんだか可愛く思えて、思わず笑みこぼれてしまう。
抵抗する女の子の両手を優しく摘んで立ち上がらせてあげると、腕を振り払うようにして踵を返し泥まみれのシンデレラのように駆け出した。
「あ、まっ───ッ!?」
逃げようとする女の子を呼び止めんとするが、踏み出した右足が何かに躓き派手に転んでしまう。
うッ!
強い衝撃に声が漏れる。
「まって!」
地面に這いつくばったまま声を張るが女の子は待つどころか振り向きもしない。そうこうしている間にも女の子との距離は開いていく。
急いで立ち上がり、女の子の後を追う。この身長差だ、すぐに追いつくかと思いきや、なかなか距離は縮まらない。私が遅いのか女の子が速いのか、それは定かではないがこのままでは逃げられてしまう。私はもともと体力が無く、今もすでに心臓は激しく波を打ち腹部には重たい痛みがいすわっている。
正直もうそうとう苦しかった。口の中はもうカラカラで足は棒のようだった、これが普段の私だったら確実に膝を折って地面に手をつているだろう。だが今回はそうはいかない、この子を逃したら次いつ人が来るかわからない。こんな右も左もわからないような、どこか知らない森の中を一人で彷徨う勇気は私には無かった。このままこの森の中で一人飢え死にする可能性だってなくは無いのだ。
───その時だった、私の揺れる視界の先で懸命に走っていた女の子が忽然と姿を消した。
───!?
驚いた私はその辺りを視界で探ると...いた。普通に居た。横向きになって痛そうに顔を歪めながら右脚の膝の部分を押さえながら倒れていた。よく見ると膝から足首にかけて激しく擦り剥いた傷があり、赤い血が滲み出ている。
それを確認してホッとしてしまった私がいた。
───最低だ
あの子の怪我を喜んでしまった
頭では分かっている、でも私の体は嬉々として受け入れていた。もう身体が限界なのだ、四肢は悲鳴をあげて、心臓には穴が空いてしまいそうなのだ。
今にも死んでしまいそうな状態で、やっと追いついた私は、苦しむ女の子を眼の前にして笑みを浮かべていた。
───最低だ...私は最低だ
こぼれる笑みが止まらず嫌になって女の子から隠すように顔を伏せる。
止まれ...止まれッ...
左右の手で表情筋を刺激するが、ヘラついた笑みは消えてくれない。
最低だ...私なんか大っ嫌いだ!
右手を固めて自らの頰に殴りかかる「ガフッ」っと鈍い音が、脳を揺さぶる。それでも居座り続けるヘラついた笑みに左手にも力を込めた。
...なんでっ!...なんで!
私は人を馬鹿する人間が大嫌いだ、死んでもそんな人間にはなりたくない。なのにっ...!
私のしている事はなんだ!?人の失敗を見て喜んで、しまいには笑ってしまった。...これはもはや女の子を馬鹿にしたのと同義だ...。
もういい...死にたい...死ね。
...私は結局変われなかった、ごめんね兄さん...もう無理
両手で首を掴んで指先に力を込めた。