7話 あの日の言葉…
今回はアリスがメインですがご了承ください。
街を周ってから約1週間経ち遂に明日は騎士団に宿泊訓練行く日だった。
「ウィン、明日は街に待った宿泊訓練だな!」
「ああ…そうだな…」
俺は正直に言うと行きたくなかった。何故かというと・・・
「騎士団には世界を救った英雄の1人もいるし、更に明日は、特別にもう1人の英雄も来るらしいしな!」
こういう事だ、会いたい気持ちはある。だが、魔王を倒した後は俺が何処にいるかは国王しか知らない。なので、全く連絡もとっていなかった。もし、見つかったら何て言えば…
「なんだ、ウィン。嬉しくないのか?」
「そういう訳じゃない…」
2人で会話をしているとアリスがこっちに来た。
「ウィンくん達、明日は遂に宿泊訓練だね!」
「ああ…ちょうど話してたところだ…」
「明日は同じ班として頑張ろうね!」
休めない理由はこれだ。下手に休んでしまうと2人に迷惑が掛かってしまう。なので、明日はある意味頑張らなくてはいけない。
「そういえば、英雄が2人来るのに何でもう1人の英雄は来ないんだろな?」
「さ、さあ、何か理由があるんじゃないか…」
「どうしたのウィンくん?」
「ナンデモナイヨ」
「そうなの?」
「まあ、ウィンが変なのは置いといて」
ん、待てよ。騎士団って事は俺を知ってる奴もいるのでは?
俺が考えていると2人は話を続けた。
「でも、勇者ってどんな人なんだろうな?」
「私の村昔助けてもらったことあるよ」
「え…」
「えっとね、今から大体6年位前にね村に魔物の群れが襲ってきたんだ…」
6年前…駄目だ。俺が一番忙しかった時で全く覚えてない…
「その時に私、足を怪我してて逃げ遅れたの。そしたら、魔物が村に入って来て人を襲い始めたの…」
「それで、私の家にも一匹の魔物が入ってきてお父さんとお母さんは私を守ろうとして魔物に食べられちゃったんだ。魔物が私の目の前まで来て口を開けた時には、もうだめだと思ったの」
「でも、いつまで経っても食べられないから少し恐いけど目を開いたの」
「そしたら目の前に両手に1本ずつ剣をもった男の子がいてね。私に『もう大丈夫、よく頑張ったね』って言ってくれたんだ。その時は同じ年位なのに凄いなって思ってそれであの人に憧れるようになったんだ…」
魔物に襲われそうになっていた女の子…そうか!あの時の!
「後からその人が勇者だって聞いて、もう一度会えたらいいなって思ってね。だから、私も強くなってあの人の様に沢山の人を守りたいと決めて学園に入学したんだ」
「そうだったのか…」
「アリス、無理はしなくていい。泣きたくなったら泣いていい。お前はもう十分頑張った…」
アリスは話している内に涙目になってた。
「うん、ありがとうねウィンくん」
「それじゃあ、また明日な2人とも」
「うん、ユウくんも聞いてくれてありがとね」
「あ、そうだアリス…
「なに?」
「両親が恋しくなったら言え。一緒にいてやることぐらいは出来る…」ボソッ
「え、今の言葉…」
「じゃあ、また明日なアリス…」
「う、うん。また明日ね」
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確かに今の言葉はそうだった。あの時に彼が言ってくれたもう一つの言葉
『両親が恋しくなったら言いな、この村を出るまでだが一緒にいてやることぐらいは出来るからな』
もしかしたら、いや、考えすぎかな。でも、あの人にもう一度会えたら…