15話 理由を探す…
ラインドさん達が部屋を出ていってから30分程たった…
俺は魔王を倒す前からずっと考えていた…なぜ人々を助けるのか、なぜ他人の為に必死になっているのか、なぜ戦っているのか…ずっとこの事ばかり考えていた…だが分からなかった。分かることができなかった…だから俺は答えを見つける為に入学した…入学して多くの人の考えを見るために。だが分からない…
「本当に何で他人の為に戦っていたんだろ…」
そう考えていると部屋の外から声が聞こえた…
「おーい、ウィン起きてるか?」
「ん、ああ…」
「おっ、じゃあ入るぞ!」
扉が開いた瞬間に何かが凄い勢いで向かってきた!
「ウィンくーん!」ドスッ
「グエッ!?」
次の瞬間、腹に衝撃が走った!?
「ウィン!大丈夫か!?アリス離れろ!?」
「うわ~ん!良かったよ~!ウィンくん生きてた!」
「う、うう…」
アリスが飛びついて来たらしい…流石に今の状態でこの衝撃はキツいな…
「ア、アリス…一旦離れてくれ…」
「あ、ごめん!」
「ウィン…大丈夫か?」
「ああ…たった今死にかけたけどな…」
まじで死ぬかと思った…普通の人でこの状態だったら死んでるぞ…
「ごめんねウィンくん!」
「まあ、死ななかったから良しとしよう…」
「そうだな、だが無理はするなよ?」
「分かってるよ…」
「分かってない!あのとき私達を助ける為に一人で残って戦ってたんだから!」
「悪かったな…でも他に誰も襲われなかっただ良いじゃないか…」
「ウィンくんが死んだらもとも子もないでしょ!」
「はいはい…」
「本当に心配したんだからね…」
「うわっ!どうしたアリス!?」
アリスが泣き始めてしまった…
「どうしたんだアリス…!?」
「おいおいウィン…アリスが何で泣いてるか分からないのか…?」
「す、すまん…」
「たくっ、アリスは本当にお前の事を心から心配してたんだよ…」
「だからって泣くことは…」
「泣きたくもなるだろ大切な仲間が死にかけたんだぞ、しかも自分達はそれを置いて逃げた訳だからな…」
「あ、そうか…」
やっと分かった…アリスが何で泣いてるのか…
「つまりアリスは、俺がお前達の為に戦っているなか自分達は俺を置いて逃げた事への罪悪感とかに心が押し潰されそうになっていたのか…悪いことをしたな…二人ともすまなかった…」
「うん…だからこれからは何があっても自分だけで戦おうとしないで…それで死んじゃったら私…」
「という訳だ。だからなウィン…これからはちゃんと俺達の事も頼ってくれ」
なるほどな…確かに俺も自分がその立場だったら嫌だもんな…
「分かった…二人ともすまかった…そしてありがとう…」
「分かったなら良いよ…本当にもう無茶しないでね?」
「分かったなウィン?」
「ああ、分かった…」
「分かったなら良しとしよう…だがアリス、お前にも一つ言って言いか?」
「なにユウくん?」
「いつまでウィンに抱きついているんだ?」
「~!?」
あっ、本当だ…飛びつかれてからくっついたままだったな。
「ご、ごめんねウィンくん!?」
「あ、いや大丈夫だ…」
何故だろう…離れられてから何かを物足りない…
「よし!二人とも落ち着いたとこで話に戻すか!」
「ああ…」
「う、うん…」
「それじゃあ先ずはウィン、お前あれにどうやって勝った?」
「あ、確かに気になる!」
いきなりか…どうする…
「で、どうなんだ?」
「企業秘密だ…」
「企業秘密ってどこの企業だよ…」
「まあ、それは置いとけ…」
「じゃあ次だ…お前は何者だ?学生がA級の魔物を倒すなんておかしい…ましてや魔法を無詠唱でしかも下級の魔法があの威力だ…どういうことだ?」
「それは………悪いが今は教えられない…」
「そうか…まあ、秘密の一つや二つ誰にでもあるからな!」
「そうだよ!誰にだって秘密はあるんだから!」
「あ、ああ…」
どうしたんだアリスは?急に顔を赤らめているんだ?
「たくっ…本当にお前は人に関しては鈍いな…」
「何がだ…?」
「じゃあ次だ」
「まだあるのか…?」
「これで最後だ、これが一番重要だしな」
「そうか…話してくれ…」
「魔物狩りの報酬についてだ」
「ん…?」
「一言で言うと一位になったから来週の日曜に勇者様に訓練してもらえることになった!」
「…………」
「で、ウィンくんはどうするの?その具合だと?」
確かにな、この状態で…ん、待てよ?訓練を休むと言って変装して二人に訓練すれば…
「あー…俺は休む二人で楽しんで来てくれ…」
「そうか…悪いなウィン」
「ごめんねウィンくん…」
「いいよ…まあ、楽しんで来てくれ…えっと今日が日曜だから丁度一週間後か…まあ、学校は水曜まで休む…」
「分かった…無理はするなよ?」
「分かってるよ…ありがとな…」
「ああ、じゃあまたなウィン」
「またね!ウィンくん!」
「またな二人とも…」
何だろうなこの気持ち………仲間…か。久しぶりだなこの感じ…まあ、今はこれでも良いかもな…




