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「ちぃっ!全然見つかんねぇ!!」
バァンッ!!!
俺は誰もいない部屋のドアを思いっきり閉める。
先程からずっとこの行為の繰り返しだ。
人々は避難しているのか建物には誰もいない。
「さっきから爆発も起こってる……建物ごと破壊して回るか?」
いや、流石にそれは不味いな。
『統治機関』の依頼とはいえ、そこまですれば俺の身が危険である。
だが最終的にはやむを得ないな。
「……! 一度目の爆発がメインストリート……」
分かった。
「くくく…ハハハハハ!
俺を出し抜くとは調子に乗ってやがる!」
ズリュゥゥゥッ!!
建物の天井が何かの圧力によって物理的にあり得ない形で穴が空いていた。
そこから建物の屋上に飛び出してメインストリートの方へと赤い目を向けた。
「あの木のあるところだな」
メインストリートには巨大な樹木が瓦礫などと絡みついてそびえ立っていた。
既にこの街の地形は頭に入れてあった俺は屋上から屋上へと伝いながらメインストリートを目指した。