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「うへぇ…2人とももう準備できてんのか」
俺がリビングに入ると既にエレナとミイが席に着いていた。
「あ、もうレン君!寝過ぎだよ〜」
「いや、ちゃんと時間通りに……」
「女の子を待たせるのはダメなんだよ?
さっ、早く食べて出掛けよ!」
「説教乙」
エレナが頬を膨らまして軽く俺を説教してきた。
それよりもミイの説教乙という発言にムカつくんだが……
「んじゃいっだっきまーす」
俺は焼けたばかりのトーストにかぶりつく。
いつもながら美味しい。
デスパイアのパンなんて硬いのなんのって……もうフライパンみたいだったぜ。
……面白くないのは知ってる。
「今日はどこに連れてってくれるんだ?」
「普通は男子がエスコートするもんでしょ」
「仕方ねぇだろ、この世界のことは地図上の場所しか知らないんだし」
学校の勉強はかなり興味が湧くことで、俺はこの世界に関する授業は真面目に聞いている。
休みの日には部屋に篭ってこの世界を調べている。おかげでかなりの情報を得た。
デスパイアに戻ったら、文明発達に貢献できるはずだ。
「そうだね、ニートなんてどうかな?
首都シードの隣街の」
「ニート?」
なんだ……この、この胸の高鳴りは……!
この言葉に俺の身体が反応している……!
「たしかにあの街はこの機械オタクにぴったりね」
オタク……それはこの世界でいう、ある分野を極めるために全てを投げ捨ててでも熱中する者のことを指すらしい。
って本で読んだけど、ミイはバカにする時に使ってくる。
「マジか!ならそこに決定だ!
見たこともない建物とかもありそうだしな!」
「うん、じゃあ食べ終わったらテレポーターに乗るからちょっと歩くね」
「了解」
「ニャァ」
この世界はシード(SEED)というが、首都の名前もシードという。
だから最も発展してるのもシードなのだ。
その隣街ってことは……かなり楽しみだな。
「プリンも行くよな」
「ニャァ」
「よし決定」
肯定か否定か分からない返事に俺は即答し、またトーストを齧るのだった。