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霧の深い街
「ぐ、くぅっ……!」
「大人しくしろ」
「も、もうちょっと優しくできないかな……」
僕は神無の治療を受けていた。
回復魔法陣で治療すれば良い話なんだが、それじゃ後から傷が開くと言って無理やりされている。
「よし、これで大丈夫だ」
「ふぅ……」
「お兄ちゃん大丈夫?」
「まぁなんとか……」
僕は神無の家のソファに横になっていて、ダメージが抜け切っていないのか、それとも安心しきっているからか身体を動かせなかった。
「というか何で神無は僕がユウだって分かったんだ?」
今の僕はイノセントにいた頃と違い、白い髪に赤い目、完全に別人の姿をしていた。
「この世界で剣技を使えるのは私と他に2人だけだからな。
それに姿が違おうとも雰囲気でわかるさ」
ふっ、と神無は微笑むとキッチンから輪っかの形をしたパンのような物を持ってきた。
「ほら、ドーナツという物だ。
ろくに食べてないんだろう?」
「ありがとうお姉ちゃん!」
刀音はすぐにドーナツというものにがっついた。
「お、おいしいー!!」
「ははっ、それは良かった」
「……僕も後で食べよ」




