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「……なっ…まさかこのタイミングで……!」
回復からまだ10分程度しかたっていない頃、僕の張っていた探知結界魔法に反応があった。
居場所は僕が今もたれている家を……曲がったところだ。
「くそ!刀音!僕を置いて逃げろ!」
僕は立ち上がると剣を手に取る。
いつもの剣より一回り小さい剣だ。
魔力の使いすぎた、今はこれ以上の魔力を精製することができないな……
「でも……!」
『グルルルッ!』
刀音が迷っていると僕達の前に犬型の機械系モンスターが現れた。
これは完全に殺る気だ。
何度か闘ったので分かるが、今の僕でも足止めくらいなら楽勝だろう。
「早くいけ刀音!!」
僕はモンスターに剣で斬りかかって刀音の逃げ道を作る。
これで何とか刀音だけなら逃げられるだろう。
だが、現実はそこまで甘くはなかった。
『ガルルッ』『ゴワァァッ』『シューーッ』『マッチョ』
道に飛び出ると、さらに何体ものモンスターが待機していたのだ。
蛇のようなのもいれば、人型の……筋肉がすごいのもいる。
「刀音いいから逃げるんだ!!」
僕はヤケクソの思いで残りの魔力を振り絞り、『光陰の聖滅剣』を発動する準備に入る。
隙も多いが……これなら!
「くっ……」
しかし力が抜け、ガクッと膝をついてしまった。
こんな時に……!
『排除しマッチョ』
「待て。人の家の前で争いはやめてほしいんだが」
「……!」
ズガッ!と僕とモンスターの前に突き刺さったのは黒い大剣。
その上に立っていたのは……
「……か、神無…!?」
「む、私の名前を知っている……ということは君は…」
『邪魔するものは排除しマッチョ』
僕の方へ視線を向けていた彼女にマッチョと言っているモンスターが飛び上がって攻撃を仕掛けた。
「ふっ、笑止!欠陥品ごときが私を倒せると思うのか!」
華麗な身のこなしで敵の攻撃を避けて大剣で一刀両断。
「はぁっ!」
縦に敵を両断し、そのまま足を踏み込むと残りの敵を横殴りに一掃してしまった。
「まぁこんなところだろう……
事情は少しだが分かってるつもりだ。
それに他に兵器がくれば面倒だから私の家に入った方がいい」
僕の身体を軽く担ぐと神無は家の扉を開けた。
「君も仲間なんだろう?さぁ早く」
「う、うん!」
刀音も一緒に家の中へはいった。