7
「呼んだか?」
「刀音伏せろ!」
刹那、地を揺るがすような爆音が霧がかった街に鳴り響いた。
「げほっげほっ…!くっ、誰だ!」
僕は何とか瞬時に結界を張って爆発から身を守り、魔力の剣を創り出した。
刀音は……無事だな、急襲用に簡易結界を常備させておいて良かった。
「んなもん言うわけねーだろうが」
巨大な球型の黒炎が僕の身体に襲いかかってくる。
上級魔法『ヘルブレイズ』だ。
「く……!」
僕は水平に構えた剣を炎に向かって目にも止まらぬ速さで突き出す。
魔力で構成された剣は突き出しが始まると同時に先程よりも強く輝き、炎の球を貫いて消滅させた。
光属性剣技『一閃』
タイムラグなしで即座に使える僕の得意技の一つだ。
「はぁん?すぐ殺してやろうと思ってたんだが、勇者ってのは意外とやるじゃねぇか。
まぁでも死ね」
襲撃してきた男は間髪入れずさらに攻撃を重ねてきた。
『ヘルブレイズ』の5発同時発射。
「なっ!このレベルの魔法を5発も……!」
イノセントにも魔法は存在していた。
魔王も魔法を使って僕に対抗してきたが、このレベルの魔法を使える魔王は稀だった。
それをいとも簡単に5発同時に発射する。
この男……今までの敵の中でも……
「く、はぁっ!!」
『一閃』の連続斬り。敵の攻撃は僕に届く前に全て消え去ってしまった。
「おもしれぇ……ならこいつは防げるかなぁ!!」
ゴゴゴッ…という地鳴りの後に襲撃者の周りの地面が隆起を始める。
戦いの衝撃で霧が吹き飛んだのか襲撃者の姿を捉えることができた。
僕より年上か同い年くらいの赤髪の少年だ。
目つきはかなり悪く、切れ長の目は殺気を含んでいる。
しかし、口元は奇妙に笑っていた。
「ふん、余所見している場合かぁ!?」
少年は俺に向かって拳を突き出した、と同時に隆起した地面から次々に炎の波状攻撃が襲いかかってきた。