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パラパラ……と煙の漂う中に無傷で立っていたのは……
「……やっぱり効かねぇよな」
「ちょっとアクセル君!いきなり何するんですか!」
俺たちの担任の先生。
「いくら教師でも今の攻撃を無傷で済むなんて無理だと思うんですが」
「そりゃあ教師だからそれくらいの実力はないといけませんよ!」
「そうですか……」
先生は何事もなかったかのように慌てて俺の元に近づこうとする。
「なら、これは何なんでしょうね?」
「!!!」
先生は突如地面から生えてきた木の枝に身体を拘束されて身動きが取れなくなった。
これぞ、地雷型SMプレイ木の鞭の力だ!!
嘘です、魔力を強く練りこんだ木属性の初級魔法です。
先生は生徒達に背を向け、その後ろに俺が立っている。
俺が先生の服を弄るとポケットから録音機っぽいものが出てきた。
「……やっぱりですか」
「……仕方ないわね……事情は後で説明してあげるから解放しなさい」
先生は諦めたのか、溜息を一つついた。
「てゆうか、アクセル君?どこ触ってるのかな?」
「胸ポケットです」
「痴漢よ、それ」
「『呪印式細胞死滅魔法』これの意味分かりますか?」
「……分かった、もうあなたの好きにしなさい。言われたことなら何でもするわ」
「話のわかる先生で助かります」
俺たちのコソコソしたやり取りを見ていたミイは戦慄していた。
あいつ……クラス全員の目の前で堂々とセクハラしてやがる…と。
俺は先生を解放するとクラスメート達に声をかけた。
「つまりだ!
コツを掴めば俺くらいには強くなれるってことだぜ!キリッ」
魔王の、何とも残念すぎる締めくくりに途中まではやる気だった生徒たちは一斉に溜息をついたのだった。
「それで?何が知りたいんですか?」
隔離エリアに残ったのは俺とミイと先生の3人のみ。
他の生徒達は少し魔法に対してやる気が出たのか、全員ブツブツと呪文を呟いたりしていた。
「……俺のことはどこまで知っている?
お前は国の機関からの監視役か?」
「意外と焦り症なんですね」
「……」
良いから早く言えと目で訴えかける。
「この世界の最高機関の直轄の部隊の1人よ、私は。
第十高等学校にはエレナさんの監視が始まってから赴任している」
「……なるほどな。
今回のことは上には報告するなよ。
報告すれば……どうなるか分かっているならな」
真剣な面持ちで先生の目を真剣に見つめる。
「分かってる。監視カメラも全部破壊されてるみたいだし。
諦めるわ」
「……さすが先生!
んじゃミイ帰るぞー!」
「え、あれ?ちょっとレン!」
俺はミイの手を引くと急いで隔離エリアから出て行った。
「……デスパイア魔王、レン=アクセル……危険過ぎるわね……」
教師は黒く燃え盛る雷の槍を防いだ時の衝撃が残っている右手を抑えて呟いた。