18 1 エピローグ
輝龍祭から3日が経過していた。突然起きた統治機関本部である白箱の最上階の崩壊。幸運な事に最上階には誰もいなかったのか、怪我人や死者はいなかったそうだ。
だが、その日を境に色々な事が起きた。
統治機関の統帥であったグレア=レストルトの行方不明だ。今は副統帥が後を引き継いで何とか統治機関の機能を保っているが、もしテロなどが起きれば危機に陥るかもしれない。
そして、もっと重要な、親友の俺にとって重要なことがあった。
レン=アクセル、ミイ=レストルト、エレナ=レストルト、あと……そうそう柊菜=ユークリエリッド=ハーゲリオ、先輩の妹だーーの行方不明だ。
たまたま統治機関に行っていたシルヴィア先生が電話でコッソリ教えてくれたのだが、最上階の跡地には4人の魔力痕跡が少し発見できたらしい。ということはレン達は輝龍祭の日、そこで何かをしていたということだ。
「……俺が考えても無駄……か」
部屋の天井をボンヤリと見つめながら溜め息をつく。学校で仲が良かったからなぁ、あいつがいないと面白くないな……
「兄上ーー起きてくださーい!」
ボスッーー!!!!
あり得ないスピードで妹が落下してきた。というか、ベッドに飛び込んできた。いつもの起こし方だ。添い寝とかして静かに起こしてくれることをいつも所望しているのだが、面倒だとか言って必ずカビ○ンの、のしかかる並の攻撃を仕掛けてくる。
「起きとるわい」
腹に力を入れ、落下してきた妹を受け止める。いつも手加減なしだから、眠っている時にされた凄い痛いんだよこれ。
「体調はどうですか?」
「のしかかってきてよく言うな……大丈夫だ、もう心配ないと思う」
そう、輝龍祭の日、何故か俺は目眩がしてそのまま倒れてしまったのだ。統治機関最上階の崩壊、それに加えて謎の地鳴りがシードを揺らがしたのたが、その時に何か……大きな咆哮が聞こえた。それが頭の中に響いて気絶してしまった。
病院の人は疲れのせいだ、と言っていたので余裕を取ってこうして安静にしていたのだ。
ーー
「……ねむ…」
「兄上、今お弁当を作ってますので、朝ごはんを食べたら準備して下さい」
「うぃー」
いつものように朝の支度をしていく。
ピーンポーン
チャイムが鳴った。誰だ?朝から俺の家に用がある奴なんているのか?新聞だろうか。
「兄上ー、今手が離せないんでお願いしまーす」
「へいへい……」
弁当の準備をする妹に返事をし、玄関のドアを開け、訪問者を確認する。
「……え……?」
「久しぶりね、誠一」
そこにいたのは、意外な人物だった。