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キーンコーンカーンコーン
「ふむふむ……なるほど、こういう原理で動いていたのか……」
「ねぇ」
「それで……ん?……なっ…ここでその原理を用いれば良かったのか…!マジかよ……誰だよこんなの考えだした奴は……」
「おい」
「……つまり…電流の向きを他方向に……」
「……」
バチチチッ!!!
「ドフュッ!!?なんだなんだ!?」
「もう帰る時間よ」
周りの生徒はそれぞれに帰る準備をして教室から出ていっている。
教科書から顔を上げるとミイがカバンを持って立っていた。
「あんた今日は1日中ずーーーーっと、教科書読んでたわよね」
「そりゃこんなにも素晴らしい発見が続々と見つかるんなら、読まないわけにはいかないだろ」
そう、俺にとってこの世界の教科書は世紀の大発見なみに凄かったのだ。
そして確信を持った。
この世界の科学技術は異常な程に進んでいる。デスパイアじゃ何年かかっても追いつくことができないほどに。
俺が読んでいたのは理科学などの教科書だが、歴史の教科書を読んで重大な発見をしてしまった。
「……何でこの世界には魔物がいないんだ……?」
「ブツブツ言ってないでエレナのとこに行くわよ!」
パシッとミイに教科書で頭を叩かれ、帰る準備をさせられた。
誰か一緒に帰ろうとか言ってくれると思っていたのだが、自己紹介のときのインパクトとミイが一緒にいるからか誰も誘ってくれなかった。
いいもん、デスパイアでも一人ぼっちで帰ってたもん!
「……魔物がこの世界、つまりシードで最後に見られたのは約1000年前……何かが起こって魔物は絶滅した、てことだろ……その何か、が重要…」
「あ、レンくーん、ミイ〜」
この世界のことについて思案しながらミイの後をついて行ってると、エレナの教室の前に来ていたようだ。
ここは3年の教室だ。
「……エレナって3年だったのか……どうりでおっぱいもデカい訳だ……」
「……ミイ、レン君がブツブツ何か言ってるんだけど」
「どうせ変なことでも考えてるんでしょ、帰ろ」
「……ロリが」
「同期だって言ってんでしょ!」
俺の一言に敏感に反応したミイが魔法で水の弾丸を放ってきた。
が、俺はそれを軽々と消滅させる。
「ちょっと2人とも!学校でそんなに強い魔法使わないで!」
パァンッ!とハリセンで2人の頭を叩くエレナ。
いつも思うのだが、どこからハリセンを取り出しているのだろうか。
「……おい、あれ見ろよ」
「あ、エレナ=レストルトじゃねぇか…?」
「それにミイ=レストルトもいるぞ……」
俺達の騒ぎを見ていた生徒達が次々と2人のことを見ては話を始める。
「なんだ?2人とも有名なのか?」
俺は2人の容姿的に当然だと思い、尋ねてみる。
1人は巨乳美人、1人はロリ美少女だぞ、こりゃモテるわ。
「……逆だよ。帰ろう」
エレナは少し俯くとミイの手を引いて玄関へ向かっていった。
「……逆ってどゆこと?」
俺は意味が分からず、再びブツブツ考え事をするのだった。