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白箱 統帥室前廊下
全てが真っ白な素材でできたドア。ドアノブまで白い素材でできていて、改めて変な建物だなぁと思う。たしかこの世界に来た時に襲ってきた戦闘機も、同じような真っ白い素材で構成されていた。俺がワームボールで消滅させた部分から見えた中身も真っ白だった。
これはどうやって製造されているのだろうか。魔力を含んでいることは『ユグドラシル』の例から分かるが、なぜ建築物にこれほどの魔力を通わせることができるのか。普通は魔力を通した物質を建築物や機体の部品には使わない。魔力は自然に空気に流れていくため、そのうち自然消滅してしまうからだ。
「いきますわよ……」
思案にふけっていた俺は、柊菜の声を聞いて我に帰る。
双剣を構え、脱力。魔力が徐々に剣に流れ込んでいく。同時に、真っ黒な双剣に光……いや、電撃が走る。しかも紫の電撃だ。バチバチと音を立てて柊菜の剣を駆け巡っている。そして十分に電撃が剣を包み込むと、刀身に金色の筋が一つ走った。
刹那、
「『二閃』」
ズババッ!!!
ドアの横側に縦の切り込みが二線入る。
「『紫閃』!!」
ズババババッ!!!!
ドアの上、下、そしてドア自体にクロス型の切り込みが刻み込まれた。
「今ですわ!」
「ええ、行くわよクソ豚!!」
「ぶっ、ブッヒィィッ!!!」
「「『魔と悪の二重奏』!!!!」」
俺の闇魔法。そしてミイの闇魔法。一気に放たれた2種類の魔力波が混ざり合って強烈なパワーを生み出す。相反する属性の魔法が、互いの魔力とぶつかり合い黒と白のコントラストを発生させた。
ドォッ!!!!!!!!!!!!
強烈な攻撃によってドアとドア周辺の壁がぶっ飛ばされた。