18
ギイッ……とドアをゆっくりと押し開ける。
「おい!なんだてめえは!?」
突然の侵入者に驚く男達。
「もしかしたらこいつの仲間かもしれねぇ、殺れ!男は取引には使えない!」
声に合わせて男が2人襲いかかってきた。
「……」
男達は僕の身体目掛けてナイフを突き刺してきたが、その攻撃は僕まで届かない。
「こいつ…!……うぎゃあぁぁぁぁっ!!」
メキメキッと僕の掴んだ男の両手が粉砕されていく音が響いた。
僕が手を離すと2人は手を抑えて床にうずくまる。
「てめえこの野郎!いくぞ!」
「……」
残った男達は全員で僕に迫ってくる。
正面からは電流を流す棒、左右からはナイフだ。
「……」
「な、おい!どこに消えやがった!」
男達は侵入者が急に姿を消したため部屋を見渡す。
ジャラッ……鎖が床に落ちる音がした。
「はっ…!いるぞ!女のとこだ!」
男達は僕の姿を見つけると再び向かってくる。
「……うるせぇんだよ」
刹那、男達の動きが止まった。
なぜなら、彼らの足には光り輝く剣が突き刺さっていたからだ。
「皆殺しだ」
巨大な魔法陣が展開。
そこからは無数の剣の刀身が姿を現そうとしている。
「なんだよこれ……た、助けてくれぇ!!」
男達は悲鳴を上げて逃げようともがくが、足が剣で固定されているため身動きができない。
「……死ね」
無慈悲な一言と共に部屋を覆い尽くすほどの無数の剣が男達の身体を全て切り刻んでいった。
ジャラッ……
気絶している刀音を抱き上げ、僕は部屋の外へと歩いていく。
「……が…く……」
「失せろ」
ドッ…と鈍い音と共に、辛うじて意識を保っていた男の頭に魔法陣から現れた剣が突き刺さった。
『光陰の聖滅剣』
魔法陣の大きさに応じて様々な剣を発生、操る剣技の一つ。
その絶大な威力によって男達は身体中から血を吹き出して原型を留めないほど切り刻まれ、絶命し床に付していた。
「これで僕は人殺し……か」
だが、そんなことはどうだっていい。
部屋から出てリュックを背負うともう一度刀音を抱える。
あいつらは僕が今まで殺してきた魔物と何も変わらない。ただの……悪だ。
なら僕は殺す。
「……この世界は狂ってる」
そして、白い髪の男は黒髪の少女と共に廃れた街の暗闇へと消えて行った。