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「お疲れ様。形態変化が自動でできる剣なんて珍しいね」
「ユウ! 見てたのか?」
「うん。僕の方は意外とあっけなく終わったからね」
「手伝ってくれても良かったんじゃ……」
「手伝ったら神無が邪魔するなとか言って怒ると思ったからさ。それに新しい技もできたんだから良いじゃないか」
神無の姿を上から下へ眺める。
黒い光沢を帯びた素材でできたドレス。その正体は神無の所持する顕現剣『破聖の太刀』が霧状に変化し、形成し直した物。魔力の消費量が物凄いことになってそうだけど、神無の魔力量の多さなら問題はないと思う、多分。
「とりあえず敵はもういないみたいだし行こうか。ほら、あの岩の上に扉が現れてるよ」
「そうだな。元々あったんだろうか?」
「いや、おそらく誰かが意図的に出したか、それとも僕達が敵を倒せば現れるよう仕組まれていたかのどっちかだと思うよ。ともかく急ごう。サーバーのある部屋じゃなかったら柊菜の方へ行かないと駄目だし」
僕と神無は岩の上に現れた出口と思しき扉へと歩きだした。
何か妙だ……もし本当に敵が僕達のこの状況を理解していたなら、足止めのためにもこの部屋に閉じ込めるのが得策のはず。それにあれだけの兵器があるのだから、もっと多くの兵器を注ぎ込んで数で勝負すれば良かったはずだ。兵器も人間と同様魔力や電力の限界はあるが、それでも僕達を殺すには十分に揃ってるだろう。ここはシードの最高機関であり、軍事機関でもあるのだから。
もしかすると……敵は僕達のことをおびき寄せるつもりなのか?それなら魔力を減らすために兵器を使用したと考えることができる。でも一体何のために?僕達を完全に抹殺するためか?なら、サーバーのある場所には何があるっていうんだ……
少し気を引き締めないといけないな。
僕はそう考えながら、次の部屋へと続く扉をくぐるのだった。