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白箱 大演習場
「くっ……今度はこっちか!!」
ズドドドドッと上空から放たれる銃撃を横っ跳びに避け、なんとか攻撃を躱す。反撃をしようにも、敵の居場所が分からないのだからこうやって逃げるしかない。
致命的な攻撃は『黒霧』によって自動防御を行っているが、集中放火を受けるとどうなるか分からない。何とかして敵の居場所を確認する方法を考えないといけない。
どこか隠れる場所でもあればゆっくり対策を練ることができるのだが、生憎ここは砂漠。見渡す限り隠れられそうな障害物など見当たらない。
『てこずってるみたいだね月裂 神無君』
「お陰様で……なっ!」
私は連射された弾丸を黒霧によって動きを止め、太刀で切り裂く。ユウのように強化魔法で動きを早めることができれば、一々動きを止めなくても切れるのだが、やはりその辺りはまだ私が弱いということか。
全ての弾丸を破壊すると敵の追撃が止まり、私の少し斜め前の上空にスクリーンが現れ、男の顔が映し出された。
『やぁ、白冬博士だよ』
「何のようだ?わざわざ私の方へ顔を出すとは」
私の返答に白冬博士はヘラっと笑うと、コーヒーらしきものを啜り、こちらへともう一度視線を向ける。
『兵器相手だからね、画的にも寂しいからだよ』
「それは私もさっきから思ってたから言わないでほしいんだが」
『だから僕が兵器達を操縦して君を倒すってわけさ。さぁさぁドンドンいくよ』
白冬博士がニヤリと笑みを浮かべると弾丸の雨が降ってくる。先程よりも弾幕が広い。黒霧で塞ぎきれるのか……!?
「ぐぅっ!! 『黒崩』!」
私は黒霧で防御を行いながらも弾幕に対して剣技を発動する。魔力によって生み出したエネルギー波が弾丸を破壊し、発生源の方向へと飛んでいく。
『ハハハッ!当たってないよ神無君!』
くそっ!やはりステルス機能をなんとかしないと攻撃が当たらないか!
『次はレーザーだよ』
その声と同時に、砂漠のある一点がピカッと光った。
「こ、これはっ!! ぐぁっ!『黒霧』!!」
自動防御によって何とか防ぐことができているが、レーザー砲は私に浴びせ続けられており、黒霧がそれに対し集まることで攻撃を受け流している。
このまま追撃を受けると確実にやられる。
「くそっ!『円崩』!!」
防御をしながらの剣技。巨大な円柱形の魔力による衝撃波がレーザーとぶつかり、軌道を変える。私はその一瞬の隙に横っ跳びに回避し、レーザーによる集中砲火から逃れる。
「はぁはぁ……ぐ、キリがない……!」
敵の兵器はおそらく弾切れは起こさないだろう。未原細胞というものはそれ自身を消費することで弾丸などを作り出す万能細胞らしいからだ。
やはりここは先程のユウのように、敵の居場所を探知して攻撃を仕掛けるしかない。ならどうやってそれを行うか。この砂漠にあるとすれば、役に立ちそうなものは砂くらいか……
そうか!これなら時間を稼ぐことができれば何とかなるかもしれない。
「なら……『黒霧』!」
私は太刀の刀身も分解させることで大量の『黒霧』を発生させる。さらに普段は自動で魔力を消費して発生する黒霧に対して魔力を送り込んでいく。
すると一つ一つの黒霧がさらに細かくなっていき、もう黒色か灰色が見分けがつかないくらいになる。それを太刀を振るうことで砂漠中に撒き散らし、砂と同化させる。
ユウの使用していた『除滅の光刃塵』と同じように敵の動きを妨害し、あとは直接叩くだけだ。ユウは敵の気配を感じ取って敵を拘束していたが、私には気配を察知することなどできないので、魔力を大量に消費して全体を感知する。
「(といっても、砂漠中に黒霧が広がるまでは逃げるしかないがな……!)」
何処からともなく降ってくる爆弾を間一髪のところで避けながら砂漠を駆ける。
走りにくいし砂も飛んでくるし散々だ。
まず、黒霧を全て敵の感知に使用しているため、自動防御が発生しないのが辛い。
レーザーなどを撃たれたら避けれるかどうか……
『ハハ、神無君。やっぱり君はまだまだ弱いね。勇者君ならその程度の攻撃、ほとんど動かずに切り落としてたっていうのに』
「ふん、私が弱いことくらい知っている。それでもユウ、それに柊菜に追いつく為にもこうやって闘っている」
ブゥンッと手に持つ『破聖の太刀』の柄の部分が振動を発生する。そろそろ準備完了か。
「どうして私がイノセントへ行っていたのか。その理由を知るためにも負けるわけにはいかない!」
太刀を振りかざすと砂漠中が一気に黒く染め上がる。まるで黒い砂嵐の中に放り込まれたかのようだ。
私に生成できる最大の魔力を注ぎ込む。黒霧が一つ一つが膨張し、目に見えない戦闘機を包み込んでいく。
『真っ暗でよく見えないね……黒霧を大量生成して戦闘機の動きを感知する気か』
「それだけだと思うのか?『黒霧』!!」
ドッドッドッ!!と、空中に5つの黒い塊が発生した。全て同じ大きさで、立方体になっており、はたから見れば積み木が浮かんでるようだ。
「はぁはぁ……その中には戦闘機が閉じ込めてある。あとは……『黒圧』!」
私の詠唱によって5つの箱が一気に圧縮された。先程までは家一つ分並みのサイズだったが、今では私の背丈の半分ほどにまでになっている。
『考えたね。まさか感知や防御以外にも霧が使えるとは。てっきり太刀の状態じゃないと使えないと思ってたよ』
私は全ての戦闘機を圧縮し終わり、力を抜いてスクリーンの白冬博士を睨みつける。向こうは余裕の表情だが。
「




