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「……ちっ、あとは好きにしろ」
フィフスは私を拘束していた能力らしきものを解除し、廊下を歩き出そうとする。私は身体が自由になったので逃げようと思ったが即座に陸起動人型兵器に身柄を拘束される。
『フィフス様。統帥命令で警護任務が出されています。この後は例の部屋へと向かってください』
「あの部屋には他にも警護がいるだろうが」
『念のためのことです』
再び舌打ちをしたフィフスは踵を返し、階段のある方向へと歩いていく。
「……トゥエル……」
階段を下りていくフィフスの姿が見えなくなった頃合いに、陸起動人型兵器は私を統帥室へと連れて行こうとする。
このレベルの兵器なら私一人でも何とかなる……!
先ほどは完全に拘束されていたため魔法を使えなかったが、今はそれほどではない。魔力を練り上げ、兵器を氷漬けにするため『フリーズショック』を発動する。
『氷属性魔力を感知。細胞を活性化。魔法を無効化します』
「えっ!?」
私の魔法は兵器に直撃したが、全く何もなかったかのように兵器は起動し続ける。
『細胞活性のベクトルを変位。雷属性へ移行……完了。スタン発動』
バチッ!!
一瞬、身体にショックが走り意識が途絶えそうになる。
レン……君……おねが……い……
そこで私の目の前は真っ暗になった。