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魔力は渦を巻き、炎は巨大に変化していく。火属性の魔力が繰り返し繰り返し爆発を起こすことで、さらに大きさを増す。
『くぅぅ、ば、爆発しちまう!』
『イっちゃうのシノちゃん?』
『うるせぇ淫乱女が!!』
「はぁぁあっ!!『デス・フレア』!!」
魔法の詠唱と共に地面に突き刺さる黒い槍。刹那、そこを中心として爆発が次々と起こり、地面の至る所から火柱が上がる。黒の炎や赤の炎が視界を覆い尽くす姿はまるで地獄絵図のようだ。
『ぐっ、こんな……うわぁああ!』
『あ、兄貴ぃ!!ぁあああ!』
当然の如く、炎は次々と兄弟を消滅させていく。俺は少し二人が燃え死んでしまうのを懸念したが、まぁ審判が助けるだろうから大丈夫だと信じたい。
「……つーか、全然制御できねぇんだけど!?」
炎はとどまるところを知らず、遂にはユグドラシルまで攻撃を開始した。
「まずい!あの上にはエレナがまだ……!エレナ!」
木属性のユグドラシルに火属性の魔法は厳禁だ、火事になっちまう。が、幸いにも根元の方は火耐性はなかなかあるらしく、まだ炎は燃え移って……って
「やべぇ!上の方燃えてねぇか!?」
『火柱のせいみたいですね』
『ふん、バカみたいに魔力を注ぎ込むからだ』
『お陰で私、もうお腹いっぱいです〜 ちょっと溢れてるかもしれません』
『ちょ!何パンツ脱いで……やめろぉ!そんなところ見せにくんじゃねぇ!!!』
「ええい!うるせぇ!とりあえず木登るしか……ん?何か変な魔力の感じが……」
俺は火が燃え移ってない木の幹に手をかけて登ろうとしたが、何か違和感を感じて手を止める。何かが渦巻いているようなこの感じ、前にも何処かで……
『(おい、かなり火がデカくなってるみてぇだけど大丈夫なのかよ?)』
そうだったぁ!エレナがまだ木の上に……い……る……え?
「な、なんだありゃあ!?」