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「あら?あなたは……」
うわ……こんなところに面倒な女が……
「何ですの?その面倒そうな目は」
「別にぃ?天下の一高様がこんなとこで何してるのかなー?って思っただけよ」
最前列に行くと、そこには金髪をクルクルロールに巻いた女が。今朝、喧嘩をふっかけてきた柊菜とかいうやつだ。
「なんだかムカつきますわねその言い方……」
「あらそう?だったらゴメンなさいねぇ、他意はないのよ?」
「む……まぁ、良いですわ。それにしても、貴女達のチーム、負けそうですわね」
柊菜はスクリーンに目を向けると少し微笑を浮かべる。
画面では、レンがお腹を押さえて疼っているところが写っていた。
「分身に、見えない攻撃。彼が近接魔法の使い手ではないことはすぐに分かりますわ。ならば、今の状況は最悪かと」
「ふん、そんなのやってみないと分かんないでしょ。
それに……」
「それに?何ですの?」
私は昨日のことを思い出す。
『あれ?それも持ってくの?』
『ん、まぁな。なんか今日は時間がかかりそうな気がするからな。もしかしたら泊まりになるかもしれないだろ?』
『さすがにそれはないと思うけど。別に置いていっても良いんじゃない?』
『埃被ったら嫌だし』
『1日じゃそんなに被らないわよ』
『念のためだって』
……って、別にこれが逆転する鍵になるわけでもないじゃない!
「……負けそうね」
「ふん、これくらいの相手に負けるようでは、私たちには到底敵うはずもないですわね」
柊菜は胸を張って笑う。かなり大きめの胸をしているため少し、いや、かなりムカつく。
こうなったら……
「レン!!絶対負けんじゃないわよ!!」
ーー
「いつつ……」
何度か敵の攻撃を受け、体力を失いながらも何とか立ち上がる。俺の弱点を見抜いた兄弟は全て肉弾戦で挑んでくる。しかも一発一発が重い。
「(どうすっかなぁ……エレナの攻撃もペースが落ちてきたし……)」
俺はポケットに手を突っ込んで悩む。こういう時こそ冷静沈着、ってな。
幸い、敵の攻撃も今は止んでいる。
「ん?これは……」
俺はポケットの中にあった、ある物を見つけて何かを感じる。いつもはボンヤリとしか感じないのたが、何故か今日はハッキリとした感覚がある。
これは……魔力、なのか?
『(おい!何でこいつこんなとこで出しやがんだよ!)』
『(あらあら、ピンチ到来ですわねぇ)』
俺が取り出したのは黒い玉。そう、フルードで見つけた黒い玉だ。その時は何となく綺麗な玉だから持って帰ったのだが、まさか今出てくるとは。
実は俺のポケットはカバンの中と繋がっていて、必要な物を取り出すことができる。別にこの玉は取り出すつもりはなかったのだが……
「魔力……そうか、これは良いこと思いついたぞ」
俺はニヤリと笑みを浮かべると黒い玉をギュッと握りしめた。
『(ひゃんっ!?)』
『(あんっ……あら、シノちゃん、可愛い声出したわね)』
『(うるせえ!びっくりしただけだ!)』