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シードーム 〈首都シード〉
「……であるからして、この大会は我らの歴史の中でも重要な伝統であり、それを受け継いで……うんたらかんたら……」
「(ちょ、長くないかエレナ)」
「(この人は長演説で有名なの。分かってても長いね……)」
ドームの中はさすがというべき広さだった。もしかしたら俺の魔王城がすっぽり入ってしまうんじゃないかってくらい広い。2回の通路を抜けてメインホールへと入ると、下のステージを囲むように大量の席があり、何人座れるんだってくらいだ。
ステージには4つの大きな白い箱が設置されており、その中は設置されているカメラの特殊な効果によって映し出されている。おそらくだが、中にある監視カメラの映像を外のカメラに送信し、そのまま白い箱に投映しているのだろう。今は中も真っ白な空間で、幾つかの機械が設置されているだけだ。
代表選手である俺たちは控え室に放送で呼び出され、輝竜祭のスポンサーである人の話を聞くのと、大会の説明を聞くためにステージ上へ上がる準備をさせられた。
そして、長々とした話と説明が終わり、俺たちは控え室へと戻って行くことになった。
「あっ、さっきのかわい子ちゃんだ。おーい」
ヒラヒラと、俺は柊菜と言っていた女の子に手を振る。
「……ふん」
普通にそっぽを向かれてしまったが。エレナはやれやれ、といった表情だ。
うーむ、可愛いんだけどなぁ……何とかして仲良くなる方法はないのか?
俺は可愛い女の子と仲良くなる方法を考えながらボンヤリと控え室へと向かった。
「柊菜にあんな金髪の知り合いがいたか?」
「別に……入り口でぶつかっただけですわ」
「そうか。あの少年、なかなかの魔力を持っているな……今回の大会のダークホースになるかもしれないぞ」
「……だとしても私達の優勝は揺るぎませんわ」
私は先程の少年、レンという少年の後ろ姿を観察する。私の剣技とあのミイとかいう女の魔法を一気に消し去った少年だ。もうあの時点で十高のレベルを超えている。それに、ミイの魔法も上級魔法だった。彼女が参加していないということは、エレナという人もかなりの実力を……
「(……何で私は、あの人達をここまで警戒してるのでしょう?私達の勝利は絶対ですのに)」
『……虚空』
「(あの声の感じ……話し方……どこかで聞いたことあるような……?)」
「柊菜、私達も戻るぞ。今日はもう出番はないから客席に戻ってユウと合流しよう」
「分かりましたわ」
十高にしてはレベルが高すぎる彼らが気になっていた私は、予選では彼らのをしっかりと見ようと決め、神無さんの後についていった。