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魔王様!?桃源郷(ハーレム)創成記!  作者: 日鏡ロイ
12章 輝龍祭
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シード 高層マンション屋上〈首都シード〉



「……今日も晴天、か。つまんねぇな、天気が変わらねぇってのも」


俺は屋上に設置されたベンチに寝転がりながらポツリと呟く。雲はいくつか浮かんでいるが、雨の降るような曇天でもない。


この屋上は俺とトゥエルが住んでいるマンションの屋上。


近辺のマンションの中では最も高い位置に存在する。つまりは、防護フィールドやウェザーコントローラに最も近い場所でもある。


それらのお陰で雪はおろか、雨でさえ滅多に降らないという、ある意味での異常気象に陥っている。ただ、植物の成長に必要な水は統治機関が作ったロボが与え、その他諸々の水も高度な科学技術によって処理される。


この異常気象ともいえる影響で圏外には常に霧がある街もあるらしい。


雪か……そういえばあの女の髪もそんな色だったな。


俺は先日襲ってきた少女『ゼクス』を思いだす。


超能力による銃で強烈な攻撃を放つ、おそらく第一高等学校の生徒でもトップレベルに食い込んでくる強さだったな。


俺自身かなりの痛手を負わされたのだが、あの後すぐにシルヴィアが応急処置を行ってセレナの元へ連れていったので、殆どダメージは残っていない。


ゼクスは冷たい瞳で銃を構えていた。それはまるで吹雪の中で眈々と獲物を狙う狩人。その瞳の奥に見えたものも、凍りつくような深い闇。


CodeNo.06か……なかなか手強い相手だな。


俺はおそらく再び会うことになるであろう後輩の事を考えるとため息を吐いた。



「……ん?電話か……」


特にやることもないので空を見ているとケータイが振動を始めた。


番号は……統治機関。




「……なんだ?」


『やぁやぁ、そんなに殺気立たないでくれよ。No.05君』


画面越しから聞こえてきたのは、いつもとは違う男の声。大抵の場合は、変声機を通した声だ。


「要件を言え。ゼクスの奴が言っていた任務のことか?」


何だかこいつは嫌な感じがする。早めに切り上げるのが得策だな。


『ほぅ、白亜から聞いていたんだね。で?どうだった?僕の作り上げた完成品の威力は』


「完成品?ゼクスのことか?」


ちょっと待て……こいつがゼクスを作り上げた……完成品?


「まさかテメェがCodeNo.プロジェクトの……!」


『そう、僕が君達を作った白冬博士だよ』


CodeNo.プロジェクト。俺とトゥエル、そして白亜と呼ばれたゼクスに施された人体実験計画。それぞれのシリーズによって目的は違うが、違法である人体実験を行っている時点でロクな目的は持っていないだろう。


「丁度良い、聞きたいことがかなりあったところだ」


『それはダメだねぇ。まずは仕事をしてもらわないと』


「俺の能力を使ってテメェの居場所なんて、すぐに逆探知できんだぞ?」


『ははっ、脅しても無駄さ。君が今、No.12とリンクしていないことはサーバーが表示しているから丸わかりさ』


サーバー……セレナが言ってたやつのことか?


「ちっ、で、逆らったらウィルスを暴発させて殺すって訳か」


『そういことさ。つまり、君達は僕達には逆らえない。そして、今話すことはその話じゃあない』


白冬博士が向こう側でニヤニヤしているのが予想できるような口調で話す。


『明日行われる輝竜祭、それの1日目終了後にある人物を捕らえて我らが本部ホワイトボックスに連行してくれ。

無論、超能力の使用は認める。たが、対象者を傷つけることは決してしてはならない』


「捕獲任務……か。何故明日なんだ?今すぐにでもできる話だろう」


『くくっ、それは気にしなくても良いよ。どうせ君のような戦闘狂には理解できない計画だからね。

……おっと、そろそろ機体の調整が終了する頃だ。

そろそろ終わりにするよ』


計画だと? 今の話から察するに、輝竜祭は何かの計画の一部なのかもしれない。


「待て、捕獲する対象者は誰だ?」


『よく聞いてくれたね。君も知っている人物かもしれないね。

かの超科学研究所の所長の娘なんだから』


白冬博士は一息入れると、背筋が凍るような冷たい声でその名前を伝えた。





『エレナ・レストルト。

父親は統治機関の統帥。


最終計画、Code000計画の始動だ』



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