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俺達はスーパーに着くと昼飯に必要な物をカゴに入れていく。 エレナ曰く、明日は大会だからカツ丼らしい。試合に勝つ(カツ)的な?
何だか謎な文化があるんだな。
「それにしても何で学校別大会なんかやるんだ?普通に考えて高校に入る時にレベル分けされてるんだから、一高が優勝に決まってんだろ?」
俺は至極当然な質問エレナにする。俺は受けていないから知らないが、高校入学の前には能力診断調査が行われ、それによって進学校が決まるらしい。エレナはセレナさんの推薦によって十高に入学になったのだが。
「うーん、2年生はまだ学校の授業で習ってないのかな。
言い伝えなんだけどね、この世界は大昔は魔物によって支配されていたの。でも、魔物が大量絶滅して人間が支配するようになったの」
「それなら知ってるぞ?1000年前くらいの話だろ?」
この件についてはミイとかなり話し合った話題だ。魔王として魔物が絶滅した理由くらいは知っておかないといけない。
「それには続きの話があるの。3年生にならないと習わないし、教科書にも載ってない話でね。
『この世界は魔物が支配する前は竜が世界を支配していた。竜の王の名は「輝竜」。異次元に住む竜で、彼の他の竜がシードを支配していた』
とだけ書かれてるの」
「なっ!ちょ、ちょっと待ってくれ!」
俺は今知った事実を整理していく。
つまりこの世界は、
『輝竜による竜の世界』
『魔物が支配する世界』
『現在の超科学世界』
の順で構成されてるってことか。
おそらく魔物の中にいたドラゴンは生き残りだろう。しかし序列的に魔物が上位を占めていただけだ。
「一説によれば、魔物が絶滅したのは輝竜と人間が手を組んで攻撃したからとも言われてるの」
「なるほど……初めて聞くな」
これが直接俺がデスパイアに帰る方法へと結びつくわけではない。
いや待てよ……?輝竜は異次元に住んでいる……それは何処なんだ。
「で、この世界の人は輝竜に感謝して輝竜祭を始めたの。
対抗試合を行うのは演武によって輝竜を楽しませるため……らしいよ」
「そうか……輝竜……少し調べた方が良いかもしれないな……」
「え?何か言った?」
「いや、何でもない!早く家帰って飯にしようぜ!」
輝竜祭。
何も起きなければ良いんだけどな……
俺は少し不穏な空気を感じながらも、それをエレナに感じさせないように買い物を続けるのだった。