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ーー
「あ、おーっすエレナー」
「レン君。授業お疲れ様」
「夏休み明けだから大した授業はなかったけどな」
集会(意外と校長の話は短かった)が終わり、昼まで授業を受けた後、俺は帰る為にエレナと教室まで迎えにきていた。
「あれ?ミイはどうしたの?」
帰る準備を済ませたエレナはバックを持つと、いつもなら一緒のはずのミイの事を尋ねてくる。
「それが、宿題でやってない部分があって、それを終わらさないといけないから居残りだってさ」
「そうなんだ。後で怒らないとダメだね」
チラッとエレナがハリセンを取り出してみせる。
ひぃぃいっ!?ミイ、覚悟しておかないと不味いぞこれは……!
「んでどうする?今日は昼までだし飯でも……ってそういやミイがいないんだった」
「そうだね、先に帰って昼ご飯の用意でもしよっか」
「うん。暑いから冷たいもんが食いてぇなー」
「そうめんは?」
「昨日の夜も食べたじゃん」
前田君が言ってたのは「10日間連続で朝昼晩ずっとそうめんだったぜ!キリッ」とのことだったが、流石にそれは俺には無理だと思った。
「じゃあスーパーに行ってから決めよっか」
「そうするか。んじゃ帰りますかね」
「うん!」
ーー
「にしても、まさか明日に学校別対抗大会があるなんてなー 俺、全然勝てる気がしなくなってきたんだけど」
学校を出て、家までの道の途中にあるスーパーへと歩きながらエレナと明日の大会について話をする。
「そんなことないよ。第一高等学校レベルになると難しいかもしれないけど、レン君なら大丈夫だって」
「そんなもんなのかぁ?負けるつもりはないけどさ」
「じゃあ大丈夫だよ」
「うーん……」
急遽、明日行われることになった学校別対抗大会。先生が言うには、かなりの規模の大会らしいが……
もし俺が魔王だと知っている人物ーー例えば、美女が言っていた勇者などーーがいればかなり面倒なことになる。
だからできるだけ目立ちたくはないんだが……
「去年の大会は凄かったんだよ。優勝者の赤い髪の毛の子が強過ぎて、みんな全然相手にならなかったの。しかもその子はその大会でファンクラブができるくらいモテモテに「あー!ちょっと頑張っちゃおうかなぁ!」
ファンクラブ?くくく、魔王様のファンクラブ親衛隊作ってやろうじゃねぇか!!!
「……とりあえず明日の作戦考えよっか」
「くくく、そうだな……絶対に勝てる作戦を考えてやるぜ…」
「ほんとにさっきまで勝てる気がしないとか言ってたのかな……」