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魔王様!?桃源郷(ハーレム)創成記!  作者: 日鏡ロイ
第11章 最後の休日
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「……標準セット完了……」


身の丈ほどもある巨大なスナイパーライフルの銃口を、屋上の日陰になっている部分から少し出して標的をロックオンする。


あとはこの引き金を引けば、兵器開発技術によって強化された弾丸と魔力を組み合わせた超強力な一撃が放たれる。


その弾丸は暑さ3センチの鉄板もいとも簡単に突き抜いてしまう威力。 普通の銃撃では不可能なのだが、魔力を込めることにより威力も速度も格段に上昇するのだ。


そして、


ライフルのスコープから標的を冷たい目で見つめるのはミリタリー柄の軍服のようなものに身を包んだ、白い髪を肩のあたりで切り揃え、パッツンの前髪は右眉辺りで二つに分けている少女だった。


青い目は奥に強さと冷たさを秘めた大きな瞳で、スコープを覗きながら一定間隔で瞬きをしている。 それは自身の目に支障を与えない程度の間隔であり、ライフルの構え方から見ても彼女がその道のプロであることが伺える。


あれがCodeNo.05のフィフス……拍子抜けだ。


私達は普通なら常に周りに注意しておかないといけない、なのに彼はフラフラと歩きながら周りを気にも留めていない。


この程度なら、殺すのは簡単。


次、止まったら打つ。




刹那、少女は驚きに目を少し見開いてしまう。なぜなら、フィフスが立ち止まって彼女が身を潜めているビルの屋上……それも銃を構えている場所をピンポイントで凝視してきたのだ。



「……ッ!!『アイン』…!」


プシュッ!



サイレンサーによって限界まで銃撃音を最小に抑えられた音が鳴った。と同時に弾丸『アイン』はライフルの銃口からフィフス目掛けて放たれた。


ーー


『危険察知、魔力展開』


「うん?」


ブシュォォォォッ!!!!!!


刹那、道の露店に置いてあったスイカが大爆発して辺り中に果汁をぶちまけた。



ふーん、やっぱそうか。



しっかり見えたぞ?



「トゥエル。同調率50%で頼む」


「……それだけ……?」


「離れた場所に行くからな。シルヴィアと一緒にどっかの店でも行っててくれ」


「……りょ……」


シルヴィアにトゥエルを任せるとトゥエルの超能力『ハイシンクロ』によって譲渡された『ファイブオーバー』を使用。スキル、フォースを発動して空中を浮いてビルの屋上へ飛んでいく。


何度か銃撃が放たれたが先ほどの様に魔力の薄い膜を張ってギリギリのところで弾丸をいなしていく。


魔力が大量放出可能な今だからこそ出来る芸当だ。いつもならできない、このレベルの魔力の使用は。


さっきは身体が勝手に反応して発動したが、今回は常に発動させているため、楽々と弾を避けることができる。



「……そこか」


ヘルブレイズを襲撃者のいるところへと投げると屋上に降りた。


兵器かと最初は思ったが、弾丸に魔力が込められていたのでこれは兵器の仕業ではない。この世界で兵器が魔法を使うことは滅多にできないからだ。


「……っ!」


バンッ!と銃声がヘルブレイズによって発生した煙の中から放たれる。


弾丸は高速で向かってくるが、それは俺の身体に触れる直前で動きを止めてしまう。


「くっ!」


パパパンッ!!


次は先ほどと異なった種類の弾丸が発射される。空中を移動してるときは弾丸にしては巨大なもの、先ほどの一撃は標準の大きさの弾丸。今回のものは細長い弾だ。


パパパンッパパパンッ!


何度も煙の中から弾丸が飛んでくる。

煙の中からも見えているのか……?それとも何か別の能力だろうか。


俺は『ファイブオーバー』の能力により弾丸を全て受け止め、小さな鉄塊へと纏めていく。


正直な話、『ファイブオーバー』の使用中の俺には飛び道具による攻撃はほとんど効かない。キマイラレベルの攻撃はかなりキツイが。


……いや、今ならあの怪物も楽に倒せそうだ。


身体の奥底から魔力が溢れてくるこの感覚。トゥエルとの同調率が90%を超えた時と同じだ。視界の隅に表示されている同調率は50%のままなのだが、現在はあの時並みに超能力の力も上昇している。


「……少し油断した」


「知らない奴だな、誰かに雇われた殺し屋か?それとも俺に恨みでも持っているのか?」


「どちらでもない」


煙が収まり、姿を表したのはミリタリーの服に身を包み二丁の機関銃を持った少女。俺のことを鋭く見つめてくる。


「ふーん、じゃあ殺れば?」


俺は『ファイブオーバー』を解除してその場に座りこんだ。


「……馬鹿にしてるの?」


「いや、なんか萎えた。これなら帰ってメタメタギアをやってる方が楽しい」


「なら死んで『ツヴァイ』」


ズダダダダダダダダダダッ!!!!


少女の持つ二丁の機関銃から無数の弾丸が発射された。その弾幕は完全に俺の身体を捉えている。



だが、



「……ふわぁ……めんどくせぇ」



弾丸は全て俺の後ろの壁や床に撃ち込まれただけだった。


俺の身体は無傷である。



「どうして当たってないの?完全に目標は捉えてたはず……」


「てめぇが俺を狙う理由を吐くなら言っても良いが」


「……先輩の性能を確認しておきたかっただけ」


「先輩?」


「そう、CodeNo.05コードネーム『フィフス』あなたの性能」


「……何でてめぇがそれを?」


俺の存在、特にCodeNo.05の件はセレナが言っていた通り、統治機関の最重要機密の一つだ。この少女が知っているのはどう考えても不自然だ。


「私が、CodeNo.06コードネーム『ゼクス』だって言えば分かる?」


……なるほど、だから先輩か。


少し興味が湧いてきた。


「CodeNo.プロジェクトは俺とトゥエルの脱退により中断されたんじゃないのか?」


「それは違う。あなた達が脱退した時にはまだCodeNo.06、つまり私とCodeNo.07のプロジェクトは続行中だった。CodeNo.08は私達のプロジェクトと並行して行われたけど先に全ての過程を終えて自分の家へ帰った」


「自分の家へ?ならそいつは今……」


「それは私から口に出せない。プロジェクトの詳細はそれに関わったもの同士以外の事は他言してはならないから」


つまり俺たちはNo.05とNo.06に関することしか話せないってことか。


「で、てめぇがゼクスだからって俺の力量を測る必要はないだろ?別に俺はプロジェクトを脱退して……」


「いいえ、あなたはまだプロジェクト続行中。No.12も。

統治機関からの指令がもうすぐ下るからそれの準備をしろと言っていた」


「プロジェクトは続行中だと?……ちっ、爆弾か……仕方ねぇな」


俺とトゥエルの中にはそれぞれ異なった爆弾、つまりはウィルスが埋め込まれているらしい。統治機関の敵になるとそれで殺されるんだと。


「それで?」


「私より弱い奴には不適任」


「じゃあこいよ。さっきからも言ってるだろ?」


「……」


少女が二丁の機関銃を離すとそれぞれが光の粒子となって消滅し、新たに違う形態銃が現れた。それは彼女の身体ほどのサイズはある重機関銃で、俺に目掛けて銃口を向けて地面の上に設置されている。



初めて見たな、テレポート系の類いか?


「『ドライ』」



突如、視界が弾丸に埋め尽くされた。

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