269/356
11 17
「ふぁーぁ……疲れた……帰って寝ようぜ……」
俺は大きく欠伸をするとゆっくりと歩いてテレポーターのある方向へと進んでいく。
「何でそんなにヤル気っていうか、いつもみたいなギラギラ感がないのよ?」
「……五月病……?」
「もう8月よ」
こいつらの不毛な質問に答えるのすら面倒くさい。
なんつーか今は身体を動かしたくないっていうか……いや、魔力自体は無尽蔵に生成され続けているんだが、それを排出したり使用する気には全くなれないのだ。
まるで身体がそうすることを望んでいるかのように。
「……ん?」
何やら視線を感じた俺はかなり距離の離れたビルの屋上に目線を向ける。
一瞬だが、冷たい魔力が向けられたような気がしたんだよな……
ふと歩くのをストップした俺を不思議に思ったのかシルヴィアとトゥエルも立ち止まり、俺と同じようにビルの方向に目を向けている。
ブシュォォォォッ!!!!!!
刹那、弾丸に突き抜かれ、赤い液体が道路に巻き散った。