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「申し訳ございません。只今、当店は満員となっておりまして…予約をしていただければ、その時間にお知らせさせていただきますが、いかがいたしますか?」
「なぬ、らしいぞエレナ」
「どうしよっか?」
「うーん、じゃあ予約お願いします」
「かしこまりました! ではここに、お名前と電話番号を……」
ーー
「大体2時間位で連絡するって言ってたなー。どうする今から」
「そうだね……あっ、あの店なんてどうかな?」
「なんだ?ぬいぐるみが入ってるガラスケース……」
「ゲームセンターだよ!いこいこ!」
かくしてアイス店が満員で入ることができず、予約だけを済ませた俺とエレナは、ゲームセンターなるところへと行くことになった。
アイス店を出てすぐ正面にある大きなアミューズメントフロア。多くの若者がカップルや友達同士でゲームをしたりクレーンゲームというものをやっている。
「これは……限定アイドルフィギュア……!?」
俺が見つけたのはクレーンゲームで、その中に超二次元アイドル『EVE』のフィギュアだった。ハーゲリオ製と記入されており、そのブランドからも高級品かつ高品質なのがすぐに分かる。ハーゲリオ財閥の売り出しているフィギュアは業界ナンバーワンを誇る品質なのだ。
「それ、誰も取れないようにできてるってミイが言ってたから違うとこ行こうよ」
「マジかよ、何であいつがそんなの知ってるんだ?」
「ミイが5000円くらい全部つぎ込んで取ろうとしてたけど、全く歯が立たなくて、そう文句言ってるのを見たの」
……御愁傷様です、ミイさん。
エレナの言葉を聞き、渋々ながらイヴのフィギュアとお別れして、他のゲームの所を徘徊することにした。
「ねぇねぇレン君。このぬいぐるみなんてミイ喜びそうじゃないかな?」
「どれどれ。ネコか……ネコならプリンがいるじゃん」
「それはペットでしょ?こっちはぬいぐるみだもん」
俺たちが見ているのはプリンより大きなネコのクッション。ピンク色の素材で、よく見れば可愛らしい顔をしていらっしゃる。
「よっしゃ、一丁取ってみますかな!」
俺は1プレイ100円と書いてある所へ100玉を突っ込むと光ったボタンをポンと押した。
「あれ?止まった……」
「レン君……もしかしてクレーンゲーム初めて……?」
「そうだが?」
「そのボタン、長押ししてアームを横に動かした後に縦に動かしてぬいぐるみの上に持って行くんだよ?」
エレナの言葉を聞いた俺はアームの位置を確認する。
最初の位置から少し左へズレただけだ。
じゃあ次にボタンを押したらそのまま奥に行くってことだから……
「え、この場所からぬいぐるみまで行けないっすやん」
「何語それ…? まぁ、失敗ってことになるね」
なんてこった。
クレーンゲームとはそういうゲームだったのか……
俺の百円乙。
「私が手本見せて上げるね」
結局俺の百円分は無駄に終わり、次にエレナが百円を入れてクレーンゲームを操作し始めた。
ビロンピロンピロンピロッ
ウィンウィンウィッ……
ギョギョギョギョギョ
ちょ、最後の音おかしいだろ!
「おぉ……おぉ!?」
「あっ!これいけそうかも!!」
「掴んだぞ!?よしゃこっちこいこい!」
ガコッ!
「やったー!ぬいぐるみゲットー!」
「うひょぉ!!ぷぎゃぁぁ!」
とりあえず俺のテンションがおかしいのは置いといてくれ。
「てかエレナ、クレーンゲーム上手いのな……」
「偶然だよ〜 さっ、他のゲームも見に行こう!」
ネコのクッションをビニール袋に入れたエレナは俺の手を引いて他のゲームの所へと歩いていく。
……今度1人であのフィギュアに挑戦してみようか。軍資金は1万だ。