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「ニャア」
「……ぐかぁ…」
ん?……ん、けっこう寝たな……今何時?
……てか何か臭くない?臭いよね?臭ぇっ!
「うぉぇっ!なんだこの臭い……って燃えてる!?」
何故か俺の周りの草原が炎に包まれていた。
そう、俺の周りのだけ…
「なんでちゃんと留守番してないの?」
「て、てめぇクソ猫1号のミイ!」
「誰がクソ猫よ」
俺の煽りを受けたからか、炎の勢いが激しくなっていく。しかもどんどん俺の体に近づいてきてるぞ!
「……くくく」
「な、何よこのクソ豚!」
さらに炎は勢いを増し、さながら豪炎とも呼べるレベルまで火柱を上げていた。
が、その豪炎は一瞬にして何もなかったかのように消えてしまった。
「かーっかっか! どうだこの4属性混合魔法の威力は!」
「う、嘘…私の魔法がこんな簡単に消されるなんて…」
ミイはガクッと膝をついた。
火が消えた原因は俺の4属性混合魔法『バニシングノヴァ』
5属性の内の欠けている魔法を消去させる消滅魔法の一種だ。
魔力の練り方を変えただけで、基本的な魔法しか使えなかった状態からここまで進歩した。
「あれあれー?どしたのかな子猫ちゅわーん?」
「くっ……こうなったら奥の手を使うしか……っ!」
「やめなさいって」
スパーンッと清々しい音を立ててミイの頭がハリセンで叩かれる。
「あ、エレナじゃん」
「ごめんねレン君、ミイったら魔法が使えるようになったからってレン君を特訓対象にしようとしてたみたい」
「ち、違うもん! このクソ豚をボコボコに…!」
「女の子がそんな言葉を使うんじゃありません」
スパーコンッ
これは……ミイがエレナに怒られてる…?
「プギャー、子猫ちゃん怒られてやんのー
巨乳ちゃんもっと言ってやれ…って、ぷぎぃぃぃぃっ!?」
スパーンッと俺もエレナに頭を叩かれる。なんかミイの時よりも強くね?
「……学校でのことを忘れたわけじゃないからね?
とりあえず入りましょ」
エレナはそう言うと地面に頭を抑えて転がっている俺とミイを放置して家に入っていった。
放置プレイとか……目覚めちまうだろうが。