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「柊菜!思い出すんだ!!
君を……助けてくれた人のことを!!」
「助けて……くれた……」
柊菜の前へ立ち、ファーブニルの攻撃を全て弾いていく。私の放っている攻撃は魔力を込めた渾身の一撃のみ。そうでもしなければ弾き飛ばすことができない。
「グォォォォォォォオオオオオ!!!!」
ファーブニルは焦れったくなったのか、空中に不安定な翼で飛ぶと全身を輝かせていく。 その口に凝縮されていくのは高濃度の魔力。
まさか……兵器と同じレーザービームを放つつもりか!?
「私は……私は……」
「くそぉっ!全魔力解放!
『堅』!!
柊菜!!」
これが……今、私にできる最大の防御だ。
あとは、柊菜がどうするかだけだ。
神無さんの声を聞いた私は先程まで向けていた視線を発色している球からファーブニルへと向ける。ファーブニルは今にもその高濃度の魔力で構成されたレーザービームを放とうとしている。
『誰か!誰か助け……』
私は泣きながら燃えている家の木材を避けて助けを求める。
だが、村の人々は倒れており、誰も私を助けてくれる人など……
『呼ばれて俺様登場ぉぉ!!
おいこのクソトカゲ、あんまり舐めんじゃねえぞ』
突如私の前に降ってきたのは……文字通り空から降ってきたのは、私と同じくらいの年齢だろう少年。真っ黒なマントを羽織り、銀色の髪の毛を長く伸ばしている。
そうですわ……!この少し馬鹿そうな口調……神無さん達には恥ずかしくて言ってなかったが……私を助けてくれた……
『グォォォアッ!!』
全身が金色に輝くファーブニルの口から金色の炎が少年に向けて吐き出される。
『うるせぇクソトカゲが!魔王ボール!!』
「うるさいですわよクソトカゲ。
家畜は私の前にひれ伏しなさい」
「しゅ、柊菜!」
そうですわ、昔のことはもう過ぎさった。
あの方が私を助けてくれた。
何を怯える必要がありますの?
今はいなくてもあの方は私の中にいつもいるのですから。
「グォォォアッ!!」
機械化されたファーブニルの口からレーザービームが放射される。その輝きは龍の鱗と同じ金色で、的確に私達二人を狙ってきている。