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研究ルーム
「ぶえっくしょい!」
「大丈夫?風邪でも引いたの?」
「レン君も化学療法する?」
「馬鹿は風邪を引かないから大丈夫でしょ」
くしゃみ一つで良くもこう俺を弄れるものだ。
「エレナの検査も終わったし帰るかなぁー」
「ちょっと、まだ宿題途中だから待って」
「うぃっす」
というわけで
「さぁトゥエルちゃんを愛でる時間だよぉーん!」
「……おは……」
宿題をするエレナとミイを放置して、ベッドに横になっているトゥエルちゃんの元へとやってきた。
既に目は覚ましているが、まだ熱は引いていないみたいだ。
「可哀想に……お兄ちゃんが治してあげるからねぇ~愛の力で!!」
「……あい……?」
「『タッチ』」
俺はじんわりと暖かくなっている手でトゥエルちゃんの頭を撫でる。
「……ふわ…ぁ……」
か わ い す ぎ る !
更に俺は優しくトゥエルの頭を撫でていく。この魔法は治癒魔法の一つで、魔王モードの時にはよく使った。 今の状態で使えてよかったぜ。
「よしよし、トゥエルちゃんはかわええのぉ……」
さらに撫でる。
いや、愛でる!
「……あれ……? ……暑く…ない…」
「楽になったか?」
「……うん……」
さすが俺!化学療法より俺のほうが良薬なのだよ!
「……あり…がと……」
トゥエルは笑顔になると俺に向かって両手を差し出してきた。
何だ?立ち上がらせて欲しいのか?
俺は手を握ると立ち上がらせるために引っ張ろうとする。
「ほっ……」
が、要求してきたのはとんでもないことだった。
「……抱っこ……」