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「……くくく……さぁ、こい、『スカーレット・フィール』」
炎の中で死焔がその名を呼んだ。
すると赤と黒の炎は一点に凝縮していき、一つの武器を構成していく。
これは……何処かで見たことのある槍だ。
どこだ……くそ、思い出せない。
「『スカーレット・フィール』は死と炎を司る魔槍の一つ。
その一撃で聖なる剣など蹴散らしてくれるわ!」
炎の中から現れた魔槍は禍々しいオーラを放ち、両端に真紅に輝く槍先が付いている。
死焔によって振り下ろされた魔槍は、激しい光と共に豪炎の衝撃波を発生させた。
「ぐっ! 『一閃』!!」
向かってくる衝撃波に対し剣技を発動、『聖滅剣』による突きは剣先になるほど強烈な輝きを放っている。
「ふん、その程度の剣技など、この魔槍の前では……」
「あぁぁぁっ!!!!!」
「な、何!?」
光の一撃は衝撃波をいとも簡単に消滅させた。
まるで先程までの攻撃が手を抜いていたかのように鋭く、速く、強力な一撃。
「ば、バカな! 『スカーレット・フィール』は『火尖槍』や『三尖槍』を上回る魔槍の一つで……!!」
「もう良いかな?
無限魔法陣展開
『除滅の聖滅剣』」
死焔の正面に無数の魔法陣が展開。
全てには今までの魔法陣とは比べものにならない量の魔法文字が書き込まれている。
「聖なる光によって滅したまえ」
刹那、辺り一帯は激しい光に包まれた。