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「くっ!忌々しいこの聖の魔力!
消し飛ばしてくれるわ!」
片手に装備している赤い盾で、襲い来る剣の乱撃を防ぎ、槍でその他の攻撃を薙ぎ払う。
「あぁぁぁっ!!」
死焔の魔力は物凄く、全ての『光陰の聖滅剣』が消滅させられていく。
「……『イグナイト』」
「なっ!?」
突如、後ろに現れた僕に驚きの声をあげる死焔。 しかし聖滅剣の攻撃はまだ続いている。
そう、僕は死焔が全ての攻撃を防ぐと予想してその死角となる範囲を作り出したのだ。わざと『光陰の聖滅剣』を正面だけから発動して。
「『五重魔法陣 弍の型 地縛』」
大量の文字が羅列された魔法陣が展開。 死焔の五体を拘束していく。右腕左腕、右脚左脚……
そして最後の魔法陣は身体だ。
「身体が…っ!! くそっ『火尖槍』!!『三尖槍』!!」
死焔は拘束から逃れようともがくが、魔法陣は全く動きそうな気配が感じられない。
「終わりだよ」
「くそ! 我が負ける……!?
ありえない!!!」
「『一せ」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
僕が一閃を放とうとしたその時。
死焔が咆哮を上げ、両手に持つ『火尖槍』と『三尖槍』が巨大な業火の火柱を発生させた。
その巨炎は死焔の身体を包み、近寄ることもままならなくなる。
それに伴い、死焔の魔力の大きさが爆発的に上昇していく。
「ぁぁぁぁぁあ!!!」
「まずい!魔法陣が…!!」
拘束していた魔法陣が円形を留められなくなり、破壊される寸前にまで達していく。
「『聖滅剣』!!」
僕は正面に魔法陣を展開し、その中から聖滅剣を創成、死焔へと放出させていく。
しかし、それらは全てを火柱に触れると消滅してしまった。