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「っ!うぁぁぁぁ!!!」
片腕を吹き飛ばされたホムラは絶叫する。 その切れ口からは光の粒子が物凄い勢いで吹き出している。
「……」
僕は『陽光の剣』から『聖滅剣』へと持ち替える。
ホムラを倒したら次はシノだ。
「ほ、ホムラ!!」
腕の切れ口を抑えるホムラにシノが慌てて近寄る。
恐らく神無か柊菜にやられたのだろう、シノも重傷を負ってるように感じる。
2人は怪我をしていない方の手を握り合わせると魔法の詠唱を始めた。
「「我らが名は『クルセイド』
混沌を司る魔王。
混ざりて元なる姿へと還らん」」
これは……初めて見る魔法だ。
ホムラとシノの身体がそれぞれ真っ赤な炎と黒い炎に包まれ、お互いの姿が炎の中へと消えていった。
そして二つの炎は混ざり合い,人の姿へと変化していった。
金の甲冑に黒の鎧、赤黒いマントを背中に羽織っている。
片手には重厚な造りの赤色の盾、もう一方には黒色の巨大な槍。
「……貴様は、あの時の勇者……」
シノやホムラとは違う、少し低めの声が甲冑越しに発せられた。
僕は剣を握り直す。
「……誰だ、君は」
「我の名は『死焔』
クルセイドの真の姿だ」
なるほど、魔力の質が変わったと思ったら2人の魔力が混ざりあったのか。
それに武器も形は異なっているが、『火尖槍』『三尖槍』の面影が残っている。
「我はこれから全てを破壊しに行く、邪魔をするな」
「それは邪魔するしかないね」
「何故だ?」
「それが勇者の役目ってものだろ!」
僕は魔法陣を展開させると『光陰の聖滅剣』を創造。次々と聖滅剣が死焔に向かって放たれて行く。