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「あの時はわざと粒子へと変化したのよ。
そして再び実体となって現れるまでは身を潜めてたの」
「なるほどね、殺しきれなかったって訳か。
じゃあもう一つ、何故この世界に?」
「さぁ?それは私達にも分からないわ。
変な空間に引き込まれて研究所らしきところに突然現れたのよ」
……僕と同じだ。
僕の場合は研究所なんて生易しいところじゃなかったが。
「他にも知らない奴らがいたのだけど、全員注射を打たれた後に逃げ出したわ。
……まぁそんなことは良いわね。
早く殺し合いましょう?」
「……僕の記憶では君はどちらかというと、あまり闘いを好まない印象だったんだけど」
「心変わりよ」
ギィィィィッン!!
ホムラの突進からの槍による心臓狙いの一撃。 彼女の持つ槍『火尖槍』はイノセントにおける伝説の武器の一振りで、火を纏ったその槍は一国を一晩で燃え尽くしてしまうという。
僕は即座に『陽光の剣』を創造するとホムラの攻撃を防ぐ。
高温の槍が空気を通して僕へ熱を伝える。
「はぁぁぁぁっ!!!」
「……変わらないね」
僕は小さく呟くとホムラの槍を弾いて後ろへと下がる。
そしてそのまま剣を左上へと切り上げた。
ガッ!
「くっ!」
「剣筋が見え見えだよ。『一閃』」
ホムラの、左腕が吹き飛んだ。




