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「ユウさん?」
「柊菜ちゃーん!!」
ユウと一緒に扉から出てきたのは黒いワンピース水着姿の刀音。
私の名前を呼ぶとこちらへと走ってきた。
「ユウお兄ちゃんから来たから大丈夫だよ!
神無お姉ちゃんを連れて隠れよう!」
「え、えぇ…」
私は頷くと重い体を引きずって神無さんを持ち上げ、屋上の端へと避難した。 引かないといけないのは悔しいが、このまま私が闘ってもホムラには勝てないだろう。
「やぁ、何で君達がこの世界にいるんだい?」
僕は『クルセイド』の元へと歩いていき話しかける。
こいつらはイノセントの魔王の1人で僕が闘って消滅させたはずだ。
「……てめぇ……!!!」
「待ちなさいシノ、今の貴女じゃ無理よ。
久しぶりね、勇者さん」
ホムラはシノを自分の後ろへと隠すようにして前に出て僕と向き合う。
「何で僕が勇者だと?」
「姿は変わっても魔力の質は変わらないものよ」
「へぇ、なら僕も聞きたいことがある。
どうして生きている?」
そう、僕はこの2人をちゃんと消滅させたはずだ。
粒子になって消え去ったのをしっかりと覚えている。