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「ガッ……!?」
半身を失ってもなお、キマイラは意識を保ち続けている。 シルヴィアに切り落とされた腕の時のように、もう一度再生させるつもりなんだろう。
「『イグニッション』」
『イグニッション発動、出力調整』
突如、キマイラの下側に俺は移動した。
前回使った『イグニッション』とは比べものにならない速さだ。
「終わりだ『ゼラム』」
『ゼラム発動、出力最大化まで3…』
「……コノ、マリョクノシツハ……!」
キマイラは上半身の切れ口から光の粒子の様なものを吹き出しながら、俺の方へと身体を向ける。
『2』
「アリエン! コノセカイデハ、マオウサマハ……!!」
『1』
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。
消えろ」
『リベレーション!!!!』
巨大な紅炎と共にキマイラの身体は焼き尽くされて消滅してしまった。
何とか、勝つことができた……
『リミット制限時間到達。
『ハイシンクロ』解除。
同調率、80、70……』
俺の身体から超能力が抜けていくのを感じる。
まずい、このままでは落下して……!!!
「ぐ……痛み止めが…!!」
超能力の解除により、キマイラにやられた脚と腕の痛みが再発。
その痛みで俺は身体を動かすこともできなくなってしまった。
「くそっ……意識が……」
そして目の前が真っ暗になった。
ドサッ
「せ、セーフ!!」
「……さすが…シルヴィア……」
「トゥエルが同調が切れたのを教えてくれなかったら、今頃フィフスは肉塊になってたわね」
「……ぶい……」
何とかフィフスは助かったようである。
そしてシルヴィアとトゥエルは首都シードへ、フィフスの治療を行うために帰りの船の置き場へと走り出すのだった。
ドサッ
「きやぁぁぁっ!!?
何この脚!?」
「……ゴリラ……タコの…尻尾…?」
「消えなさぁーい!!」
フィフスを担いだままキマイラの下半身を切り刻むシルヴィアであった。