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「神無さん!しっかりしてください!」
神無さんの身体を揺すると反応があった。何とか意識はあるみたいだ。
「……柊菜……逃げ…ろ……まだ…あいつらは……」
「神無さんを置いて逃げるなんてできませんわ!
私がホムラも倒して……」
「……違…う…!…本当の……姿は……」
神無さんはそう言うとフッと意識を途切れさせてしまった。
「あの神無さんが……!」
私は神無さんをその場に横たえるとホムラの方へ向き直る。
正直、もう魔力は殆ど残っていない。体力もだ。
さっきの『紫閃』で全て出し切ってしまった。
今は何とか『紫電』を顕現させられている状態だ。
「……力を下さい」
あの方のことを思い浮かべる。
例えどんな巨大な敵であろうと臆することなく闘ったあの方を。
『……君は殺させないよ……』
「……さぁ、始めますわよ」
私は意を決すると『紫電』をもう一度構え直してホムラを睨みつけた。
V字型の甲冑の目穴から冷たい視線を放つホムラは不気味に笑う。
「そうね、貴女は惨殺よ、惨殺」
そして私とホムラの剣は激しい火花を散らすのだった。