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「な、何だ貴様らは!!」
獲物、という言葉を聞いた私は大剣を顕現させると2人が攻撃してきても対応できるようにする。
柊菜も同じく『紫電』を顕現させる。
「見ろよホムラ、この世界にも剣技使いがいるみたいだぜ?」
「あらあら、これは楽しめそうですね。
この破壊衝動を抑えるのには丁度良い相手ですわ」
ズォォッ!!
2人の周りの水が渦を巻いて竜巻のようにプールの上へと上昇していく。
「ぐっ……この質の魔力はまさか…!」
私は刀音を後ろに引き寄せると魔力を更に大剣へと供給させていく。
「「『クルセイド』の名に於いて召喚せし魔の具象よ、我らの手に収まらん」」
燃え上がったのは炎と黒の混ざりあった火柱。
それは一瞬にして周りの水を全て蒸発させてしまった。
「調子はどうだホムラ?」
「あらあら、シノちゃんは心配症ですね。
……良すぎて楽しめないかもですよ」
ぞくっっ!私の身体が敵の強さに驚いて強張ってしまう。
さっきの魔法詠唱により2人の手には武器が顕現してた。
シノと呼ばれた背の低い方は巨大な槍。 筒状のもので、突き攻撃をメインとするタイプのものだ。
もう1人のホムラと呼ばれた背の高い方は同じく槍を持っている。シノのものよりは小さいが、普通サイズのものだ。
片方の手には盾を持っていて、おそらくバランスタイプの闘いをするのだろう。
「……柊菜、お前はシノという奴とやれ。
私はホムラをやる」
「分かりましたわ。
気絶させればよろしくて?」
「いや……こいつらはイノセントでは『クルセイド』という魔王だったはず。 ユウが昔倒したはずなんだが……
殺すつもりじゃないと殺されるぞ」
私はもう一度武器を握りなおすと『クルセイド』に向き直る。
ついでに刀音に耳うちをしておく。
「(刀音、私たちが闘い始めたら隙を見てユウを連れてきてくれ)」
「(うん!)」
刀音はここにいては危険だ。
ユウの元に向かわせて何とかして彼を連れてきてもらうのが得策だ。